2023.09.05
普及が進まない「介護ロボット」 職員の負担軽減につながるも“費用の高さ”がネックに【岡山・香川】
超高齢社会に突入し、ますます需要が高まる介護施設。そこで働く介護職員にも高齢化の波が押し寄せています。介護職員の負担軽減につながるとして注目される「介護ロボット」、普及の現状を取材しました。
(中塚美緒アナウンサー)
「約10キロある重たい荷物なんですが、かなり楽に持ち上げられますね」
背中に内蔵されたゴムの張力を生かして、持ち上げや介助をアシストする機器や…
(中塚美緒アナウンサー)
「このように起きて立ち上がると、私の動きに合わせてチャイムが鳴ります」
ベッドの下にあるセンサーが動きを感知し、すぐに職員に知らせる見守りロボット。
(古都の森介護士 野田貴之さん)
「利用者ごとに毎晩眠りが浅いということも、睡眠データで見てとれるようになっている」
岡山市は、こうした介護の現場で使われる機器、いわゆる「介護ロボット」を、5年前から市内の事業所に無償で貸し出しています。
(岡山市医療福祉戦略室 江田大輔室長)
「人口減少、高齢化の進行により、介護人材の不足が見込まれていたので、最先端の介護機器を活用し、介護人材の確保につながる施策ができないかと考えて、事業を開始した」
介護の職場づくりをサポートする介護労働安定センターによりますと、特別養護老人ホームなどで働く職員やホームヘルパーなど介護労働者の平均年齢は50歳。若い世代の新規採用が伸びていないのが要因の一つで、利用者の体を持ち上げる移乗介助や、利用者に寄り添ったコミュニケーションなど、体力と時間が必要な介護の現場では今、職員の心身の負担軽減が早急に求められます。
市の介護ロボットの貸出期間は3か月。こちらの施設では、今回初めて体の動きや音声に反応するセンサーを活用したトレーニングシステム「TANO」を借り入れました。
「がんばれがんばれ…」
利用者自らが様々なプログラムを通して楽しくリハビリを行うことができます。
(利用者は…)
「関節も筋肉もすごく動いた。日頃あまり動かしていないので良い運動です」
(ハートフルきらめき荘 中島達矢さん)
「普段見られない笑顔も沢山見られるのですごく良い機会。準備をする必要がないのでリハビリ的にも負担が少ないと思う」
しかし、介護ロボットに対して評価する意見は多いものの、これまで購入に繋がったのは5か所のみ。普及が進まない要因は「費用の高さ」です。介護ロボットの相場は依然として高く、数百万円かかるものも。
(ハートフルきらめき荘 金見一弘副施設長)
「うちの施設に合うのか、採算が合うのかとどうしても考えてしまう。全国でも『ちょっと高くて手が出せない』という施設が多いのでは。(この事業を通して)いろんな介護ロボットを体験して、その中から非常に施設に合っているなというものがあれば検討したいなと」
毎年、様々な介護ロボットを試している事業所もあります。
岡山市東区の老人介護施設、古都の森は今回9回目で、利用者との対話を支援する介護ロボット「コミューン」が活躍していました。話す側の声をマイクが拾い、スピーカーを通して相手にクリアに届くため、利用者とのコミュニケーションに役立つといいます。
「グー・パー、グー・パー」
体操中でも声が音楽にかき消されず、しっかり指示が伝わっているようです。
(利用者は…)
「すごくびっくり。最初びっくりしました。本当によく聞こえますね。欲しくなる感じ」
(古都の森 田中佳世デイケア主任)
「これまでは筆談する方もいたが、これを使い始めてから『良く聞こえる』といわれることが多い。重宝しています」
(古都の森 笠井俊男リハビリ主任)
「介護ロボットが負担してくれた部分でできた余裕や時間を、利用者に還元していくのが、今の介護ロボットとの上手な付き合い方」
岡山市は、機器を体験してもらい効果を実感してもらうことが普及に繋がるとして、今後も介護ロボットの普及事業を続けていく方針です。
(岡山市事業所指導課 森泰人課長補佐)
「当事者間で情報共有できる仕組みであるとか、横のつながりの場を求めていきたいという声が上がっている。事業所間で情報共有できるような仕組みも整えていきたい」
高齢化が進む中、注目される介護ロボット。今後どう普及につなげていくかが、介護現場の未来の鍵を握っています。
(中塚美緒アナウンサー)
「約10キロある重たい荷物なんですが、かなり楽に持ち上げられますね」
背中に内蔵されたゴムの張力を生かして、持ち上げや介助をアシストする機器や…
(中塚美緒アナウンサー)
「このように起きて立ち上がると、私の動きに合わせてチャイムが鳴ります」
ベッドの下にあるセンサーが動きを感知し、すぐに職員に知らせる見守りロボット。
(古都の森介護士 野田貴之さん)
「利用者ごとに毎晩眠りが浅いということも、睡眠データで見てとれるようになっている」
岡山市は、こうした介護の現場で使われる機器、いわゆる「介護ロボット」を、5年前から市内の事業所に無償で貸し出しています。
(岡山市医療福祉戦略室 江田大輔室長)
「人口減少、高齢化の進行により、介護人材の不足が見込まれていたので、最先端の介護機器を活用し、介護人材の確保につながる施策ができないかと考えて、事業を開始した」
介護の職場づくりをサポートする介護労働安定センターによりますと、特別養護老人ホームなどで働く職員やホームヘルパーなど介護労働者の平均年齢は50歳。若い世代の新規採用が伸びていないのが要因の一つで、利用者の体を持ち上げる移乗介助や、利用者に寄り添ったコミュニケーションなど、体力と時間が必要な介護の現場では今、職員の心身の負担軽減が早急に求められます。
市の介護ロボットの貸出期間は3か月。こちらの施設では、今回初めて体の動きや音声に反応するセンサーを活用したトレーニングシステム「TANO」を借り入れました。
「がんばれがんばれ…」
利用者自らが様々なプログラムを通して楽しくリハビリを行うことができます。
(利用者は…)
「関節も筋肉もすごく動いた。日頃あまり動かしていないので良い運動です」
(ハートフルきらめき荘 中島達矢さん)
「普段見られない笑顔も沢山見られるのですごく良い機会。準備をする必要がないのでリハビリ的にも負担が少ないと思う」
しかし、介護ロボットに対して評価する意見は多いものの、これまで購入に繋がったのは5か所のみ。普及が進まない要因は「費用の高さ」です。介護ロボットの相場は依然として高く、数百万円かかるものも。
(ハートフルきらめき荘 金見一弘副施設長)
「うちの施設に合うのか、採算が合うのかとどうしても考えてしまう。全国でも『ちょっと高くて手が出せない』という施設が多いのでは。(この事業を通して)いろんな介護ロボットを体験して、その中から非常に施設に合っているなというものがあれば検討したいなと」
毎年、様々な介護ロボットを試している事業所もあります。
岡山市東区の老人介護施設、古都の森は今回9回目で、利用者との対話を支援する介護ロボット「コミューン」が活躍していました。話す側の声をマイクが拾い、スピーカーを通して相手にクリアに届くため、利用者とのコミュニケーションに役立つといいます。
「グー・パー、グー・パー」
体操中でも声が音楽にかき消されず、しっかり指示が伝わっているようです。
(利用者は…)
「すごくびっくり。最初びっくりしました。本当によく聞こえますね。欲しくなる感じ」
(古都の森 田中佳世デイケア主任)
「これまでは筆談する方もいたが、これを使い始めてから『良く聞こえる』といわれることが多い。重宝しています」
(古都の森 笠井俊男リハビリ主任)
「介護ロボットが負担してくれた部分でできた余裕や時間を、利用者に還元していくのが、今の介護ロボットとの上手な付き合い方」
岡山市は、機器を体験してもらい効果を実感してもらうことが普及に繋がるとして、今後も介護ロボットの普及事業を続けていく方針です。
(岡山市事業所指導課 森泰人課長補佐)
「当事者間で情報共有できる仕組みであるとか、横のつながりの場を求めていきたいという声が上がっている。事業所間で情報共有できるような仕組みも整えていきたい」
高齢化が進む中、注目される介護ロボット。今後どう普及につなげていくかが、介護現場の未来の鍵を握っています。