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2023.11.08

一体何が?全国ワースト脱出「横断歩道で止まらない県」が変わった理由【急上昇ニュース岡山】

関心の高い話題を詳しく解説する「急上昇ニュース」。今回は皆さんから寄せられた“交通安全意識”に関する声を深掘りしました。担当は堀さんです。

10月にこのコーナーで行った「暮らし向上アンケート」に470件の回答を頂きました。その中にあったのが、「信号機なしの横断歩道で停止してくれる車が少ない」という声でした。歩行者優先は“ルール”ですが、守られていないのをよく見かけます。

JAF日本自動車連盟は、《信号機のない横断歩道の一時停止率》を都道府県別に調査しました。
横断歩道1
岡山は2021年【10.3%】で全国ワーストでした(全国平均30.6%)。ところが2022年は【49%】に急上昇(全国平均39.8%)、2023年も【47.8%】で全国平均(45.1%)を上回っています。

突然の急上昇・・・一体何が起こっているのでしょうか?

11月2日の朝、岡山市内。歩行者が立っている横断歩道を、シルバーの車が走り抜けました。
横断歩道2
サイレンを鳴らして追いかける白バイ。
横断歩道3
(白バイ)「横断歩道がある所、左手に歩行者がいたので、必ず一時停止お願いします」
(女性)「わかってます。間に合わなかったんです」
(白バイ)「免許証お願いします」
(女性)「ハイハイハイ…」

止まらなかった理由について女性は…

(女性)「木があって見えない」
(白バイ)「見えない場合も必ず止まって下さい」
横断歩道4
(岡山中央警察署 藤井真梨巡査長)
「違反をする時は少し急いでいたり、考え事をしていた時に、うっかり歩行者に気づかなかった、と言う人が多い」

横断歩道では、時に重大な事故が起きます。2023年8月、赤磐市で横断歩道を渡っていた高齢男性が車にはねられ、一時意識不明の重体となりました。ドライバーは「わき見をしていた」と話し、現行犯逮捕されました。

JAFが信号機のない横断歩道の一時停止率を調査した所、岡山県は2021年【10.3%】で全国ワーストでした。
横断歩道5
(岡山県警交通企画課 黒籔昌史次長)
「大変不名誉なことだと思った。その汚名返上のためにも、取り締まり件数を増やしている」

県警は“横断歩行者妨害”に重点を置き、徹底した取り締まりを行いました。2018年【282件】だった《取り締まり件数》は、2022年【8042件】に増えました。約30倍です。
横断歩道6
これに引っ張られるように《一時停止率》は、2022年【49%】、23年【47.8%】と50%近くに上がり、全国平均を上回りました。

23年の取り締まり件数は前年を下回る見込みで、「交通安全意識が向上した」と見ることもできます。

岡山県運転免許センターで、免許更新に来たドライバーに聞いてみると。

(ドライバーは…)
「(歩行者が)いきなり出て来る事があるので、気を付けて、速度を緩めて一旦停止するようにしている」
「犬を散歩している歩行者がいっぱいいるので、すぐ止まれる速度で通行するようにしている」
「(岡山県内でも)地方に行くと意識が低いと思う。止まるという意識が」

取り締まりの強化が功を奏したと言えそうです。またこの間、自動車ディーラーの啓発CMなど、官民挙げた取り組みもありました。

それでもまだ、半数は止まっていません。
横断歩道7
JAFが行った「歩行者がいても一時停止しない理由」のアンケートによると、一番多かったのは、「対向車が停止しないから(44.9%)」でした。「車が通り過ぎれば渡れるから(41.1%)」「歩行車が渡るかどうかわからないから(38.4%)」などが続きます。

「渡るかどうかわからない」ことは、運転しているとよくあります。そこで県警の協力を得て、違反になるケース、ならないケースを再現しました。

例えば、横断歩道にいる歩行者からどうぞと譲られた時。
横断歩道8
歩行者がまだ渡る前なら、通り過ぎても違反になりません。一方、違反になるのは…
横断歩道9
(岡山中央警察署 藤井真梨巡査長)
「違反になるパターンは、歩行者が渡り始めて、車が止まらなかったので仕方なく止まった場合」

次に、見通しの悪い場所から歩行者が突然出てきた時。
横断歩道10
(岡山中央警察署 藤井真梨巡査長)
「見通しの悪い場所では、歩行者がいるかいないかわからないので、いつでも止まれる速度で徐行を」
横断歩道11
止まれないからと言って通り過ぎると違反になります。ダイヤマークを見たら、横断歩道の手前で停止できる速度で走らなければいけません。横断歩行者妨害は違反点数2点、反則金が普通車9000円。信号無視と同じです。

調査を行ったJAFは、「ドライバーはもちろんのこと、歩行者の安全意識向上も大事」と言います。
横断歩道12
(JAF岡山支部 建部拓さん)
「横断歩道の近くに渡りもしないのに、“ながらスマホ”したり、立ってみたりする人はいると思う。そういう行動をしない。お互い思いやりを持って、安全を確保する(事が必要)」

横断歩道の一時停止率は上がりましたが、2022年の人口10万人当たりの交通事故死者数は、岡山県が全国ワーストでした。本当に安全な街を作っていくには、ルールを守る事はもちろん、「みんなが思いやりの心を持つことが大事」だと感じました。

以上、急上昇ニュースでした。