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手話が語る福祉~オリンピック開催が聴覚障害への理解に~【岡山・香川】

2021.08.06

手話が語る福祉~オリンピック開催が聴覚障害への理解に~【岡山・香川】

手話が語る福祉のコーナーです。
熱戦が続く東京オリンピック、そして、パラリンピック。
スポーツが持つ力は私たちを勇気づけるだけでなく聴覚障害への理解にも期待が寄せられています。

(障害者野球チーム号令)
「オリンピックに負けずに、頑張っていきましょ~。お~」
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懸命に野球に取り組むのは、手や足などに障害がある選手たち。
手話2.png2021年4月に設立された障害者野球チーム「香川チャレンジャーズ」です。
メンバーは、選手やサポートスタッフ約50人。
手話3.png週に1回、汗を流す彼らにとって、東京オリンピック・パラリンピックは大きな励みになっています。
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(障害者野球チームの選手は…)
「今、すごくスポーツに注目が集まっている時期で、その年にチャレンジャーズが生まれ、スタートしたのは非常に大きなことでうれしい」
「パラリンピックもあるので、身体障害者スポーツとしての野球も種目になれば」
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(篠田吉央キャスター)
「こちらのチームには聴覚に障害がある選手がいます」

高松市に住む須田和昌さん(56)。
生まれつき聴覚に障害がある須田さんは、ろう学校中学部でソフトボールと出会い、卒業後は聴覚障害者の仲間と野球に励んでいますが、立ち上がったばかりのチャレンジャーズにも加入しました。
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手話7.png(須田和昌さん)
「やっぱり野球が一番楽しい」
手話8.png(篠田吉央キャスター)
「オリンピックは見ますか?」
(須田和昌さん)
「はい。ソフトボールでホームランを打ったのを見て、私もホームランを打ちたいと思った」

この後のパラリンピックも楽しみにしている須田さんですが、実は、聴覚障害者にはパラリンピックの参加枠はありません。
手話9.png同じ障害者スポーツといっても身体と聴覚ではコミュニケーションの壁があり、唯一の聴覚障害者メンバー須田さんも練習の時にはサポートスタッフの手話が頼りです。
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手話11.png(須田和昌さん)
「最初は(チームメイトの)言っていることがわからなくて、みんなの様子を見て同じことをしていた」
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聴覚障害者にとっての世界最高峰のスポーツ大会「デフリンピック」。
手話13.pngオリンピックと同じように夏季・冬季の大会があり、それぞれ4年に1度、開催されます。
会場では国際手話が使われ、競技のスタート音や審判の声などは目で見て分かるように対応しています。
手話14.png手話15.png4年前の大会で、日本は、バレーボール女子で金メダルに輝くなど、過去最多の27個のメダルを獲得しました。
手話16.png
(全日本ろうあ連盟 デフリンピック準備室 久松三二室長)
「ろうのアスリートは、オリンピック・パラリンピックと比べて非常に知名度が低い。ろうのアスリートが一生懸命努力している状況について、なかなか皆さんに見て頂く機会はございません」
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実はこのデフリンピック、全日本ろうあ連盟が、日本での初開催となる2025年夏季大会の招致を目指していて、オリンピックによるスポーツへの関心の高まりに期待を寄せています。
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手話19.png(全日本ろうあ連盟 デフリンピック準備室 久松三二室長)
「自分が頑張る力、生活をしていく力を身に着けていくのと同じように、聞こえる人たちに対しても、元気・勇気を与えることにつながるのが期待できる」
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一方で、招致に向けて早くも動き出している人がいます。
手話21.pngバスケットボールの指導のため、和歌山県から定期的に津山市の岡山県作陽高校を訪れる上田頼飛さん(39)。
手話22.png聴覚障害者が行うデフバスケットボール男子の日本代表の監督を務めています。
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(デフバスケットボール男子 日本代表 上田頼飛 監督)
「全国各地に指導には行っている。理由はデフ選手の発掘。(ここでは)健常者を教えているが、そこから(聴覚障害者に)情報の呼びかけをたくさんしたい」
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こう話す上田さんが、この日訪れたのは、岡山市にある岡山県聴覚障害者福祉協会。
手話25.png国内の競技人口が男女合わせて150人程度というデフバスケの選手発掘が狙いです。
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(デフバスケットボール男子 日本代表 上田頼飛 監督)
「小さい子供たちの憧れを作って、お互いに楽しめる世界を作りたい」
手話27.png(岡山県聴覚障害者福祉協会 佐藤美恵子事務局長)
「(ろう学校では)1人2人でできる競技が増えている。陸上とか」
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岡山県内では、ろう学校の生徒数が年々減っているため、団体競技よりも個人競技を選択する傾向にあり、バスケを選択しづらい現状がありました。
手話29.png上田さんは、体験会などを通じてデフバスケを周知したい考えです。

(岡山県聴覚障害者福祉協会 中西厚美会長)
「情報が増えて、自分で何をやりたいか選択の幅が広がり、参加するきっかけが出来ることがいい」
手話30.png(デフバスケットボール男子 日本代表 上田頼飛 監督)
「トップアスリートを目指す方もそうですし、これから聴覚障害があるけれどもバスケを始めたい子供たちの環境作りになれば」
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オリンピック効果で普及に期待がかかる障害者スポーツ。
手話32.png結成から4カ月が経った香川県の障害者野球チームでは、聴覚に障害がある須田さんと他の選手との間で手話でのコミュニケーションが少しずつ増えていました。
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(チームメイト)
「多様性や共生社会の実現が障害者スポーツの大きなテーマだと思うので、(チームの中に)いろんな仲間がいるのはとても大事なことだと思う」
手話34.png(須田和昌さん)
「色んな障害者が参加できるスポーツが増えて欲しいなと思う」
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熱戦が続く東京オリンピックとその後に続くパラリンピック…。
スポーツの力は様々な障害への理解にもつながるはずです。