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2021.11.02

“夜明けの縁” をさまよう人を描き続ける…芥川賞作家・小川洋子さんに紫綬褒章【岡山】

様々な分野で社会に貢献した人や団体に贈られる秋の褒章の受章者が発表され、岡山・香川からは合わせて23人が受章しました。

(紫綬褒章・小川洋子さん)
「全く予想していなかったのでどう受け止めていいのか自分でも今でも分かっていない。好きな小説をただ書き続けてきただけでそのことしかしていないにも関わらず、見ていて下さった人がいてご褒美をくださって大変ありがたく思っている。」

岡山市出身の芥川賞作家、小川洋子さんは、学術や芸術で功績があった人に贈られる紫綬褒章を受章しました。映画化された「博士の愛した数式」や海外で高い評価を受けている「密やかな結晶」などこれまでに約40作品を世に送り出してきました。

(紫綬褒章・小川洋子さん)
「小説を書くのは難しい、手間もかかるし根気もいるしめんどくさいけど、書かない時間がものすごく辛い。書かないことが私にとっては不自然なこと。」

約20年前、倉敷市の当時の自宅で撮影した映像です。この時、小川さんは芥川賞の候補に上がり注目されながら、子育ての真っ最中でした。

(紫綬褒章・小川洋子さん)
「もしかしたら一番幸せな時だったかもしれない。子供が私のワープロの画面をみて『上手に書けてる』って言ってくれたのことをいつも書けない時に思い出す。子供が私に与えてくれた10の手で足りるくらいの思い出を飴玉みたいに時々口に含んで喜びを噛みしめている。」

作家生活約30年、2人の孫も生まれ2022年に還暦を迎える小川さん。書きたい小説のテーマは、一貫しているといいます。

(紫綬褒章・小川洋子さん)
「もう私逃れられないと思う。“夜明けの縁”をさまよいながら、行くあてもなく、誰も救いの手を差し伸べてくれる人もいない、そういう人を書き続けていくと思う。」

このほか、夏に行われた東京オリンピック、パラリンピックで活躍した岡山・香川ゆかりの選手たちも紫綬褒章を受章しています。