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95歳の看板俳優、認知症を患う主婦…“生きづらさ”を抱えた人たちが作る新しい演劇(1)【岡山】

2022.05.31

95歳の看板俳優、認知症を患う主婦…“生きづらさ”を抱えた人たちが作る新しい演劇(1)【岡山】

岡山の劇団「OiBokkeShi(オイ・ボッケ・シ)」。主宰の菅原直樹さん(38)。
特番1
劇団の旗揚げから8年、これまでやったことがない演劇に挑む。
特番2
役者は95歳の看板俳優はじめ12人。人とうまく話せないことに悩む若者や、認知症を患う主婦、脳性麻痺と闘う女性など…何かしら“生きづらさ”を抱えた人たち。ひとりひとりの個性そのままに、従来の演劇にはない舞台を作りだそうと、菅原さんは考えている。

(菅原直樹さん)
「認知症だったり障害だったり、それぞれ生きづらさみたいなものを抱えているのではないかな、僕自身も感じている所あるんですけど。そういった皆さんに参加してもらって舞台の上で自分たちの居場所をつくれたらいいかなと思ったんですよね」

介護福祉士の資格を持つ菅原さんがたどりついた新しい演劇。話すことが難しい人や体が不自由な人にどう演技指導するのか。演じる人たちはそこから何を見つけるのか…

菅原さんは東日本大震災をきっかけに岡山に移り住み、介護福祉士として働いていた。
特番3
学生時代、演劇の経験をもつ菅原さんは、認知症のお年寄りとの日々の中で、演劇を介護に活かすことを思いついた。

“ボケは正さず、演じて受け入れる”

こちらの都合にあわせて正すのではなく、ただ受け入れる。受け入れることを演じるという発想は斬新だった。

2014年、菅原さんは、“老い”と“ボケ”と“死”をテーマにした異色の劇団「OiBokkeShi」を立ち上げる。
特番4
観客と役者が町の中を移動しながら展開する「よみちにひはくれない」では、菅原さん自ら主演をつとめた。
特番6
認知症のお年寄り役は岡山在住、当時88歳の岡田忠雄さん、通称「おかじい」が熱演。
特番5
2人はその後、数々の作品を送り出した。
特番12
「OiBokkeShi」は高い評価を受け、菅原さんは芸術選奨文部科学大臣新人賞など多くの賞を受賞した。
特番7
(菅原直樹さん)
「岡山県に移住して僕の人生は変わりました。和気町で親しくなった人たちと、介護と演劇を結びつけるワークショップを行った時、その会場に一番乗りでやってきたのが当時88歳のおじいさん。そのおじいさんは僕を見るなり『監督!監督!』。ちょっと面倒くさい人がやってきたと思いました。僕はそれまで俳優しかやったことがなくて『監督じゃないんだけどな…』と思いましたが、次の瞬間『よし監督を演じよう』と」


菅原さんはこれまでにない舞台に挑もうとしている。仮につけたタイトルは「エキストラの漢(おとこ)」。
特番8
映画撮影の下見に来た監督と、映画に出ようとする町の人が、民宿を舞台に繰り広げる物語。決まっているのは出演者や設定といったおおまかな筋書きだけ。

稽古場で出演者にまず即興で芝居をしてもらい、そこで見つけたものやそれぞれの人生経験をそのまま役柄や場面設定に反映して脚本を練り上げていこうというのだ。
特番9
あらかじめ完成した脚本を用意する芝居に比べ、何倍も手間や時間がかかる作業。なぜそうするのか?
特番10
(菅原直樹さん)
「演劇ワークショップの参加者と一緒に作れたらな…と。そこに岡田さんが加わって、このメンバーでしか出来ない面白いお芝居が出来たら。脚本もその人に合わせて書いていて、実際に稽古場で対話を繰り返しながらキャラクターを作っていけたらと思っています。演劇を通じて、フィクションを通じて、普段言えないことを言ったり、対話をしたり、そういったことも芝居作りのプロセスでできたら面白いんじゃないかと」

公演までおよそ1か月。新しい挑戦が始まった。
特番11
(※2につづく)
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