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2022.06.22

合格率“約1割アップ”も「GIGAスクール」導入2年目の高校で成果と課題を探る【岡山】

児童や生徒1人に1台ずつパソコンやタブレット端末などを配備する国のGIGAスクール構想。岡山県では2021年から高校でもタブレット端末などの導入が始まっています。現状と課題を取材しました。

高校生がカバンから取り出したのはタブレット端末です。毎朝10分間、英語の検定対策をしています。

以前は全員共通の問題を紙で配っていましたが、今はAI搭載のアプリが1人ひとりのレベルにあった問題を出題。学校の調べでは、合格率が約1割上がったといいます。

(教員は…)
「ノートで書くよりもタブレット端末が子供たちにとって主流になっている。タブレット学習の方が子供たちにとっては記憶しやすいのかなと」

岡山市の県立岡山東商業高校です。県立高校では、GIGAスクール構想に伴って、2021年度から、今の1・2年生を対象に、保護者の費用負担で端末が導入されています。

そして、こうした端末の活用が進むのは、教室の授業だけではありません。

(生徒の説明)
「何してる?」「グループ制作の構成を考えている。紙で書くより持ち運びもしやすいし、書きやすいので、みんな使っている」

体育のマット運動の授業では、端末を使って演技の構成を考えたり、生徒同士で動画を撮り合ったりして、技の完成度を高めるよう工夫されていました。

(撮った動画を確認)

(生徒は…)
「便利なことの方が多い。授業中にいろいろ調べられたり、みんなで共有できたりするのが良い」

活用に肯定的な声が聞かれる中、過渡期ならではの課題もあると教員は指摘します。

(教員は…)
「(端末で)文章を打つ生徒もいれば、ワークシートに(手で)書き込む生徒もいる。どちらでもいいと生徒には言って、慣れた方法でさせているというのが現状」

こうした現状について、GIGAスクール構想の立ち上げを担当した専門家は…。

(理化学研究所 高谷浩樹経営企画部長 倉敷市出身・デジタル庁アドバイザー)
「差はいつまでも残ると思う。当然尊重しなければいけないが、重要なのは情報活用能力を育成しよう、前に進んでいこうとすること」

一方、教職員側の変化もあります。朝礼は、従来、紙で配付していた資料を、オンラインで共有することで、業務の効率化につながっています。その分、授業の内容を改良する時間が生まれたといいます。

(教員は…)
「タブレット端末が学習効果を上げていくように、教員自身も端末を生かして生徒が学びやすい環境を作らないといけない」

(理化学研究所 高谷浩樹経営企画部長 倉敷市出身・デジタル庁アドバイザー)
「世の中でもICTがこれだけ使われているのに、学校だけが使われていなかった。それで子供たちが学びに対して興味関心を持てるのか。ICTは本来便利になるもの。そこは実感してほしい」

成果と課題が混在しているGIGAスクール構想。教育現場では、情報化社会を生きる生徒たちにふさわしい新しい学びのあり方を模索しています。