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2022.08.15

隔離の島で“命の尊厳”を問うアート…大島で作品公開始まる 瀬戸芸夏会期【香川・高松市】

島の歴史を投影したアート作品は、見る人に命の尊厳を伝えます。瀬戸内国際芸術祭の会場の1つで、国立ハンセン病療養所のある高松市の大島で8月15日から作品の公開が始まりました。

(「声の楔」やさしい美術プロジェクト 高橋伸行さん)
「この場所は風がすごく通る場所で、なおかつ遠くを見渡せる。声を発する場所として一番良いんじゃないかと思って」

島の北部にある山の麓。この場所にあった温室を改装した作品、「声の楔(くさび)」です。カーテンがたなびく温室内では、入所者の肉声を録音したテープが流れ、島の日常生活の一部を訪れる人に感じさせます。

(「声の楔」やさしい美術プロジェクト 高橋伸行さん)
「この場所が皆さんにとって大事な場所の一つになってくれれば。「また来たいな」とか、ふとした時に思い出す風景がここにあるということを伝えられたら」

瀬戸芸の会場の1つ、高松市の大島。国立ハンセン病療養所、「大島青松園」のあるこの島では、入所者の感染防止対策として8月5日の夏会期開幕から作品の公開が延期されていましたが、15日、ようやく来場者を迎えることができました。

田島征三さんの作品「青空水族館」は入所者の寮だった建物を使ったものです。島に流れ着いた廃材を使って表現された魚や檻のような海藻の中でたたずむ人魚の姿が、かつての国の隔離政策に翻弄された人々の思いを伝えます。

(来場者は…)
「学校の授業でハンセン病について勉強していたが、初めて来て、言葉にするのは難しいけど、見られて良かった」

15日から大島で公開された新作3つを含む13の作品は、入所者の生きた証と命の尊厳を私たちに伝えます。