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2022.09.02

客室乗務員ならではの発想で“県庁に新風“ JALから出向の下田美紀さん・高田美津子さん(1)【岡山】

新型コロナの流行で大打撃を受けた航空業界。仕事を奪われた客室乗務員(CA)たちは、次々と異業種にチャレンジしました。岡山県庁に出向している2人の客室乗務員が「職場に新風を吹き込んでいる」と聞き、職場を覗いてみました。

県庁マンが「思いもつかなかった」アイデアで…
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岡山県農林水産部の“対外戦略推進室”に2021年4月から出向している、日本航空(JAL)の客室乗務員、下田美紀さん(36)。岡山が誇る果物、桃やブドウを首都圏や海外にPRするのが仕事です。2021年夏には東京・新宿のデパート、伊勢丹で開催された岡山フェアに関わりました。当時のエピソードを上司が教えてくれました。

(岡山県対外戦略推進室・金平啓二室長)
「“飛行機でとうもろこしを朝飛ばす”という発想は我々にはなかった。飛行機なら夕方送ったものが次の日お店に並ぶ、或いは夜トラックで運ぶのが通常。思いつきもしなかった」
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下田さんが企画したのは、真庭市蒜山で夜明けとともに収穫したとうもろこしを空輸し、“その日のうちに”新宿の伊勢丹で販売する取り組みでした。

(下田美紀さん)
「伊勢丹の人とリモート打ち合わせをした時、『飛行機で何か飛ばすことはできないの?』と聞かれて。鮮度が大事なものを考えた時、桃やブドウよりもわかりやすいのが(時間が経つにつれ味が落ちる)とうもろこしだった。午前10時に岡山空港発の飛行機に乗せると、午後1時ごろ伊勢丹に着く」
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2日間開催した岡山フェアの目玉として実施し、売れ行きは上々でした。取り組みは翌2022年にも行われました。

「客室乗務員の経験」をフルに発揮
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下田さんと同じタイミングで岡山県庁に出向したのが、1期後輩の高田美津子さん(31)。“公聴広報課”に配属されました。高田さんもまた、客室乗務員としての経験を県庁での仕事に生かしています。

(高田美津子さん)
「JALの機内で2022年9月末まで流れている岡山県の紹介動画を作った。どういうスポットを取り上げるか決めたり、業者への依頼や完成のチェックもして。完全に“裏方”として働かせていただいた」
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さらにフォトコンテストも企画しました。

(高田美津子さん)
「楽しいのは、インスタグラムで“県民と双方にコミュニケーションできる仕組みづくり”ができること。客室乗務員の時もお客様とすごく距離が近かったので、そういう所は大事にしながらやっている」

高田さんの上司は、彼女の存在が「職場のいい刺激になっている」と話します。

(岡山県公聴広報課・濱家由加総括副参事)
「1年ちょっと経つが『新しい風が吹いてきた』という感じ。色んな感性で企画をしていただいている。岡山に住み始めたばかりでいいところを探そうとしてくれる気持ちもわかる。これを持ち帰ってもらえたら」

「任期は1年」だったが…

2人の仕事は、これまでの経験を生かしつつ「客室乗務員ではできなかった」事です。
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(高田美津子さん)
「客室乗務員の時は、自分から何かを企画することはなかった。飛行機にあるもので工夫する、限られた食事や機内に乗っているものでどれだけ喜ばせるかだったが、こちらに来るとアイデアで勝負できるというか、そういう所が面白い」

当初、出向の任期は1年でしたが2年目に入りました。実は2人とも「県庁に残りたい」と会社に意思表示をしていたそうです。でもそろそろ空に戻りたくなるのでは・・・?

(高田美津子さん)
「『機内食は食べたい』と話していた。恋しくなってきた」

(下田美紀さん)
「(笑)それはどうかな?海外に行きたいと思う時はあるけど」

(高田美津子さん)
「県庁に月~金、朝から晩までいるので、結構染まっている」

県庁に残りたいと思うのはなぜ?・・・そもそも2人は“志願して”岡山県庁に出向していました。

コロナ禍でフライトが10分の1に…2人の客室乗務員が“地方への出向”を志願した理由は?(2)【岡山】に続く