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2022.10.24

「ロープレスキュー」世界一! 日本チームのリーダーが総社に 災害で悲しむ人を無くすために…【岡山】

ロープを使って人命を救助する技術、ロープレスキュー。その技術を競う国際大会で、日本チームとして初優勝を果たした消防士が総社市にいます。ロープレスキューにかける思いを取材しました。

(訓練の様子)
「要救助者1名。 足首の痛みを訴えている。自力歩行不可能、担架で上げるよ」

強靭なロープや金具などを使い救助活動を行うロープレスキュー。
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足場が不安定で高低差がある現場などから要救助者を助け出す技術で、ヘリコプターや車が入れない場所でも活動できます。

2018年7月、岡山県にも甚大な被害をもたらした西日本豪雨。被災した家などを守るため、住宅の屋根に上りブルーシートをかける作業では、ロープレスキューの技術が大いに役立ちました。
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(Japan West 9PM 林田章宏さん)
「自分たちが日頃、身に付けている技術を、地域住民のために使う時じゃないかないう思いでやっていた」
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中四国の消防士で構成されたロープレスキューチーム、「Japan West 9PM」です。
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ロープレスキューでの救助の基本は、5人1組。それぞれの隊員が、目の前の状況に対して臨機応変に対応する力が求められます。
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大きな声でチームを鼓舞するのは、リーダーの林田章宏さん(46)です。
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(Japan West 9PM 林田章宏さん)
「海外の大会を経験した。そこからカルチャーショックを受けて、自分自身のロープの技術に対する取り組みが動き始めた」

林田さんがロープレスキューを知ったのは2004年、消防の専門雑誌を目にしたことでした。

高い技術に興味を持ち、兵庫県で開かれた講習会に参加、その奥深さに引き込まれます。総社市で消防士として活動しながら、練習を重ね、国際大会に参加するなどして実践的な救助技術を磨いてきました。
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(Japan West 9PM 林田章宏さん)
「自分の身に付けた高度な技術が、総社市の消防本部に還元されて、その技術を実災害の中で生かしていきたいというのが、一番の自分自身を突き動かす原動力」
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9月、ベルギーで開かれた救助技術の世界一を決める大会、「GRIMPDAY」。
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林田さんにとっては2回目の挑戦。2017年にも出場しましたが、結果は、30チーム中23位と世界との差を痛感させられた大会でもあります。
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(Japan West 9PM 林田章宏さん)
「評価の大半が『丁寧だけど複雑だし遅い』だった。そこから自分たちで改善点を見つけて、少しずつ修正しながら取り組んできた」
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自分たちの今の技術力を測る上でも貴重な大会。林田さんは、チームを指揮するリーダーとして出場しました。
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4日間に渡って開かれた大会の結果は…

(歓喜の瞬間)
「JAPAN!」

林田さん率いる日本チームは、世界19カ国から集まった24チームの中で見事、優勝を果たし、世界の頂点に立ちました。
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(Japan West 9PM 林田章宏さん)
「優勝という結果を得ることができたのは、非常にうれしかったという言葉に尽きる」
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総社市消防本部に勤める林田さん。現在は、組織の体制作りを担う警防課に所属して、デスクワークが中心です。
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災害現場に出る機会は少なくなりましたが、地域の安全を守るという思いは変わりません。

(Japan West 9PM 林田章宏さん)
「海外などで学んだ技術を、総社市の消防が活動する現場で、実際に、傷病者など助けを待つ人たちに、より安定して的確に救助活動ができるようつなげていきたい」
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仕事の合間に向かった先は敷地内にあるロープレスキューの訓練棟です。
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(訓練中の林田さん)
「担架から離れる瞬間に、一瞬、荷重が抜けるから、担架が動く。実際の人だったらもっと揺れる。そこの瞬間を言うか、足を離すところを優しくしたらもっといい」
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林田さんは、自身が培った技術の継承にも力を入れています。
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(総社市消防署 吉富真吾さん)
「正直、優勝の一報を聞いた時は、信じられないというか、すごいなというそれだけだった。我々にとっては兄貴的なリーダーというか、救助の組織で言えば先駆者ということで、いろいろなものを総社に還元してくれた先輩」
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まだまだ日本ではメジャーではないロープレスキューの技術を、日本のスタンダードにしていきたいという林田さんの思いは、確実に受け継がれています。

(Japan West 9PM 林田章宏さん)
「これから複雑多様化するような災害が想定される中で、その現場に出動する私たちの救助技術もアップデートしていかなければならない。終わりない学びというか、終わりのない課題をずっと追いかけているものだと思う」
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災害で悲しむ人を一人でも無くすために…林田さんたちは、きょうもその技術を磨き続けます。