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2022.11.05

実体験がベース 西日本豪雨の被災者が”演劇に挑戦” 演じることで見えた課題も【岡山・倉敷市】

西日本豪雨の被災地・倉敷市真備町で、演劇を通して防災を考える取り組みが進んでいます。被災から4年、町の復興とともに地域の防災意識が高まっています。

(演劇)
「おやじ避難しようや、レベル3が出ているんで、」
「堤防も切れりゃあせん、わしはこの家におる」
「いくよ!」
「避難したいなら避難せえ」

演技しているのは地域住民たち。多くが被災者です。

この演劇は、地元のNPOが地域の防災意識を高めようと企画しました。講師を務めるのは、岡山で老いや認知症をテーマに演劇を行う劇団、「OiBokkeShi」の主宰・菅原直樹さんです。2021年、劇団が、介護が必要な人たちの避難計画の大切さを訴えるPR動画を制作したことがきっかけで、防災意識の向上を目的とした演劇のワークショップを行ってきました。

参加者は約20人。これまで5回のワークショップでそれぞれの体験や悩みについて対話を重ね、演劇を作ってきました。11月3日はその発表会でした。

(演劇)
「どんどん、今まで見たことがない水。いまさら外に出て行けない。しょうがない2階に垂直避難しかない」

(参加者は)
「月日が経つと忘れがちになってしまうことを、また改めて何が大事かを振り返れた。いい機会」
「非常にアイデア、企画、いいことやると、人間モチベーション上がってくるしね」

認知症の人にどう避難してもらうのか…。避難所での問題点は何なのか…。演劇を通していくつかの課題が浮き彫りになりました。

(菅原直樹さん)
「実体験をもとに演じてもらうことで、とてもメッセージのあるものになるのでは。プロの俳優ではないが、セリフの一言一言がとても重みを持つ。そのリアリティーはプロの俳優でもなかなか出せない」

防災と演劇を結び付けた新たな取り組みは、防災力の向上だけでなく、住民同士の絆を再確認する機会にもなったようです。