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2022.11.29

自宅は全壊 ピアノは水没 それでも音楽を続けられたのは… 豪雨被災地に響く音色【岡山・倉敷市】

音楽を復興の力に…。4年前の西日本豪雨で被災したピアニストが11月29日、倉敷市真備町の文化施設にグランドピアノを贈りました。ピアノに込められた彼女の思いとは。

美しい音色を響かせるグランドピアノ。演奏するのは、倉敷市を拠点に活動するピアニストでピアノを寄贈した橋本里香さんです。真備町有井在住の橋本さんは、4年前の西日本豪雨で被災し、自宅は全壊、愛用していたピアノや楽譜などはすべて水に浸かりました。

(ピアニスト 橋本里香さん)
「ピアノを一目見た瞬間にダメだなと分かった。もうどうしようもないだけだった」

途方に暮れていた橋本さんが、今まで音楽を続けてこられたのは…このピアノがあったから。被災から約1カ月後、知り合いを通じて事情を知った原さんが自宅で使わなくなった娘のピアノを橋本さんに譲ったのです。

(原泰江さん)
「浸水して全部ダメになったみたいと聞いて、弾いてもらえるならと(譲った)。きょう聴いて感激した。本当によかったなと思う」

2022年の春、橋本さんの手元に新たなピアノが届いたこともあり、今回2人で相談し、連名での寄贈を決めました。11月29日、真備町のマービーふれあいセンターで行われた寄贈式には住民ら約30人が参加し、橋本さんが真備ゆかりの曲「竹の道」など3曲を演奏しました。

■被災後、施設ではピアノ3台が水没
■4年の時を経てロビーにその姿が戻ってきた

(参加した人は)
「うれしい。長い付き合いで曲を聴いて涙が出た」
「被災して(ピアノが)なくなって、寄贈されてとてもうれしい。やっと復興が芸術にも戻ってきたかなと」

(ピアニスト 橋本里香さん)
「ここでいい音楽をして、みんなが元気になる。気軽に立ち寄って心が和む場所になったら」

思いやりの輪を後世につなぐピアノ。復興のシンボルとして、これからもその清らかな音色を響かせます。

(12月25日 マービーふれあいセンターで橋本さんのコンサートを開催予定)