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2023.03.14

不登校の中学生にも寄り添う“特別な学び舎”の意義とは 三豊市の「夜間中学」で初の卒業式【香川】

2022年4月に香川県で初めて開校した三豊市の「夜間中学」で、3月、初めての卒業生を送り出しました。開校から間もなく1年、立ち止まったままの人に寄り添う特別な学び舎は何を残したのでしょうか。

在校生や教員が見守る中、中学3年の中川大貴さん(15)に佐藤浩二校長から卒業証書が手渡されました。

(中川大貴さん)
「みんな優しく接してくれて、楽しい学校だった」

三豊市の「夜間中学」は、十分に義務教育を受けられなかった人に、中学校の教育課程を提供するため、2022年4月に開校。香川県内では初めての設置で、学齢期の中学生も通えるようにと、全国初の特例校の指定も受けました。

中川さんが転入したのは2022年10月。友人関係のトラブルにより不登校となりましたが、年齢や経歴が様々な10人のクラスメイトとここの教員にはなじむことができました。

(母親の加代さん(50))
「トラブルになって同年代が苦手になったので、子供ばかりじゃないのが違ったのかなと思う」

(父親の真治さん(54))
「子供なりの考えを聞いてくれる大人が周りに(いた)。先生も相談に乗ってくれる」

わずか5ヵ月でしたが自らの意志で通学し、校外学習を含めて様々な思い出を作りました。人前で話すのは得意ではありませんが、3月10日の卒業式では堂々とした姿を披露しました。

(中川大貴さん)
「学校に行かなかった頃は、自分の卒業式は想像できなかった。学校の皆さんは温かく迎えてくれ、声をかけてくれた。新しい生活に向けしっかり頑張る」

中川さんはこの春から県内にある通信制の高校に進学し、興味のあるパソコンを勉強したいと意欲を見せています。

立ち止まったままの人に寄り添ってきた「夜間中学」。開校1年を前に、山下市長はこのように総括しました。

(三豊市 山下昭史市長)
「本当の教育を我々はいろいろな形で学べた。門戸を開いて、あらゆる人を受け入れたい」

誰もが自信を持って生きられる社会。それを少し引き寄せた「夜間中学」は、この春、2年目の歩みをスタートさせます。