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2023.06.21

「人工呼吸器はつけない」難病ALSの男性が下した決断 つければ外すことができず…病は進行【岡山】

全身の筋肉が次第に動かなくなる難病ALS。病が進行すると、自力での呼吸が困難になり、より介護の負担が大きくなる人工呼吸器を装着するかの判断を迫られます。発症から約5年、倉敷市のALS患者の男性が下した決断は…
ALS1
(直樹さん)
「つけない。(その理由は?)環境が整っていない。家族の負担を増やしてしまうというのが一番嫌」
ALS2
倉敷市の直樹さん。自力で立ち上がることがほとんどできなくなった今、人工呼吸器をつけないことを決めました。

ALSは、全身の筋肉が次第に動かなくなる原因不明の病気で、全国で約1万人がこの難病と闘っています。根本的な治療法はありません。
ALS3
(岡山大学病院 山下徹医師)
「平均して5,6年で呼吸の麻痺が起こり、自分では呼吸ができなくなってくる病気」

ALSの治療法などを研究する、岡山大学病院の山下徹医師です。人工呼吸器は、気管を切開するため、一度、着けると外すことができずやがて寝たきりに。直樹さんと同じく家族に負担をかけたくないと人工呼吸器をつけない選択をするALS患者は約7割にのぼります。

(岡山大学病院 山下徹医師)
「患者の不安は、どうなっていくんだろうとか、いつまで呼吸器なしで生きられるのかというのが一番の大きい」

岡山県内には約150人のALS患者がいて、多くの患者がその選択に揺れながら病気と闘っていると山下医師は言います。

(岡山大学病院 山下徹医師)
「呼吸器をつけると外すことができない。つけることで家族の時間を奪ってしまうのではと悩まれている人もいる」
ALS5
妻の弥佳さんと経営を始めた理容室です。直樹さんは、2022年、店の代表を妻に引き継ぎました。
ALS4
(直樹さん)
「今のところはまだ考えがまとまっていない。とにかく負担ばかり考えてしまう。家族に負担がかからなくて、呼吸器をつけて、みんなが笑って生活できる状態があるのであればそれが良い」
ALS6
しかし、日に日に病は進行していき家族への負担は増え続けるばかり。いずれは24時間の介護が必要となり、施設への入所も考えましたが、家計への負担も少なくありませんでした。
ALS7
(妻・弥佳さん)
「子供たちもいるので、主人はどちらかというと家族のためにその決断をしているのではと思っている」
ALS8
人工呼吸器をつけない選択をした直樹さんですが、家族の存在が残された時間に生きる意味を与えています。

(直樹さん)
「家族との時間が生きがい」

こうした患者が少しでも前を向くきっかけになればと、治療薬の研究は進められています。

(岡山大学病院 山下徹医師)
「研究が進んでいることが希望の1つになる患者もいる。社会全体で病気に対する理解が進むと治療も進むと思うし自宅介護への理解も進むと思う」

(妻・弥佳さん)
「1人でもこの病気を知ってもらって、早く治療が受けられたり、早く治療薬が欲しい」
 
(直樹さん)
「体が動かない生活はなった人じゃないと分からない。かなり苦しいもの。今の自分は自分の限界まで生きていこうと思う」
ALS9
6月21日は世界ALSデー。多くの患者が命をめぐる選択を迫られ、生きる意味を考えています。
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