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【記者解説】5度の流産・死産を経て授かった命…その我が子を殺めた母親に実刑判決 背景は【岡山】

2023.10.03

【記者解説】5度の流産・死産を経て授かった命…その我が子を殺めた母親に実刑判決 背景は【岡山】

2022年6月、岡山県和気町で障害のある8歳の息子の首を絞めて殺害したとして、殺人の罪に問われている36歳の母親の裁判員裁判で、岡山地方裁判所は10月3日、懲役7年の実刑判決を言い渡しました。

判決を受けたのは岡山県和気町のパート従業員、藤井典子被告(36)です。判決によりますと、藤井被告は2022年6月、自宅に止めた車の車内で当時8歳の息子、蒼天君の首をタオルで絞めて殺害したものです。

3日の裁判で本村曉宏裁判長は「やや重い判決になった」と述べました。傍聴した森岡記者の解説です。

(森岡紗衣記者)
「(法廷内で描かれたスケッチで)黒い服を着ているのが藤井被告です。落ち着いた様子で両ひざに握りこぶしを置いて判決を聞いていました。しかし犯行が蒼天くんの未来を奪ったことを指摘されたときに両手で涙を拭う姿が印象的でした。

では裁判で明らかになったことです。藤井被告にとって蒼天くん(当時8歳)は5人の子供を流産・死産してようやく授かった命でした。しかし、夫は息子の重度の障害を受け入れられず藤井被告は日常的に心無い言葉を浴びせられていたといいます。

被告は働きながらほぼ1人で蒼天君を育てていました。犯行の前の月に被告は夫から離婚を切り出されました。しかし被告は夫との生活に執着し、精神的に追い詰められ自殺を決意。蒼天くんを1人置いていけないと心中を図りました。結果的に藤井被告は死にきれず蒼天くんだけが犠牲となりました。

判決では、夫との間で解決すべき問題に息子を巻きこんだ、身勝手かつ短絡的な犯行であるとしています。また、夫や家族が重い刑を望んでいないものの、裁判を通して、藤井被告の反省が十分ではなかったとして同じような犯罪と比較し、判決はやや重い懲役7年になると述べました。判決後、弁護側は控訴しないとしています」