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2023.10.31

97歳の俳優、京都への“公演旅行に密着“ 劇団員のサポート受け「倒れたら棺桶に入る役で」【岡山】

岡山の劇団の97歳の看板俳優が、3年ぶりに県外で舞台に立ちました。上演されたのは、岡山で生まれた演劇と介護を融合した作品。男性はどんなメッセージを届けたのでしょうか?

(舞台の1シーン)
「3人で会えたからうれしい」「おおきに、おおきに。ありがとう」

死に向き合い、生きることを問う「生前葬」をテーマにした芝居「レクリエーション葬」。岡山の劇団「OiBokkeShi」が、9月に岡山市の岡山芸術創造劇場ハレノワで発表したものです。看板俳優の岡田忠雄さんは97歳!10月22日、京都の舞台に立ちました。

遡ること3日前…。

(岡田さんの家の玄関)
「こんにちは」「はーい。すぐ出発?」「ちょっとゆっくりしてから行きましょう」

劇団を率いる菅原直樹さんが、岡田さんを迎えにやってきました。

(劇団OiBokkeShi主宰 菅原直樹さん)
「(県外は)3年ぶりくらい」

劇団を立ち上げて9年、菅原さんは家族のように岡田さんの世話をしながら、舞台の稽古や公演を続けてきました。

(菅原直樹さん)
「岡田さん、きょう薬も飲んでおきましょう」

97歳になった岡田さんには、介護福祉士の資格を持つ菅原さんのサポートが欠かせません。

(岡田忠雄さん)
「よくしてくれるから公演に行ける。私の人生は舞台ですから」

京都への旅の始まりです。

(菅原直樹さん)「京都公演もほぼ完売みたいです」
(岡田忠雄さん)「すごいね(拍手)」

京都に集まった劇団員たち。本番まで寝食を共にします。介護の仕事をしている団員もいて、岡田さんのケアや気配りは、自然に行えているのです。

(会食で岡田さん)
「カンパーイ!がんばりましょう!」

京都滞在2日目。ラジオ体操する劇団員に岡田さんは…

(岡田忠雄さん)「素晴らしい!若い!」
(劇団員)「岡田さんもやってくださいよ」

朝から晩まで劇場で過ごす岡田さん、さすがに居眠り…

京都滞在4日目。いよいよ本番の日を迎えました。

(岡田さん掛け声)
「カモン!楽しくいきましょう、えいえいおー!」

物語の舞台は老人ホーム。岡田さん扮する芝居に情熱を注いだ男性の生き方が、介護をする人や周りの人たちの生き方をも変えていくというストーリーです。

(舞台の1シーン)
「天国で劇団を作る、舞台に出る」
「お父さん死んでも芝居するんだね」
「するよ。団員を集めて天国でも芝居をする」

舞台で見せたのは、芝居に命をかける岡田さんと、全力で岡田さんを支える劇団員の姿でした。

(観劇した人は…)
「お客さんを楽しませようと強く思っていることが分かったので、見ることができて良かった」
「周りの俳優さんたちもすごくサポートしている。だからこそのお芝居」

(岡田忠雄さん)
「俳優に満点はない。舞台に満点はない。命の限り、倒れたら倒れたで棺桶に入る役ができる」

(劇団OiBokkeShi主宰 菅原直樹さん)
「岡田さん今97歳なので、100歳公演とか、どんどんと夢が広がっているので実現できたらいい」

岡田さんと劇団員のやさしさに包まれた夢の旅。これからもまだまだ続きます。