2024.03.21
息子は1歳半で寝たきりに…在宅介護を選択した女性が2人の息子を育てながら得た「家族の時間」【岡山】
障害のある子供の介護現場に迫ります。心身に重度の障害のある子供たちは全国に約4万3000人、そのうち、在宅介護をうけているのは約2万9000人と推計されています。
重い障害があっても、できるだけ他の子供と同じように子育てをしたい。そう願いながら、懸命に寝たきりの息子の在宅介護を続ける岡山市のある母親の姿を追いました。
野田山理奈さん、35歳。 そして、理奈さんの息子・竜晴くん(13)、中学1年生です。 好奇心旺盛でとても活発な子だったという竜晴くん。しかし、1歳半の時に突発性発疹に伴う急性脳症を発症。全身にまひが残り、寝たきりの状態になりました。 (母・理奈さん)
「病院でひきつけを起こして、2時間けいれんして、その日にはもう「峠です」と先生から言われて。その時お腹に下の子がいたが、ショックで早産しかけた。なんでうちの子が、なにか悪いことしたかなとか、なんで私の子だけがこうならないといけないのかとすごく思ったし、当時は毎日泣いていた」 自分の意思では身体を動かすことができず、話すこともできなくなった竜晴くん。当時24歳だった理奈さんは、病院側から施設に預けることを勧められましたが、竜晴くんは夫婦にとって3回の流産を経験したのち、ようやく授かった待望の我が子。片時も離れたくないという思いから、自宅に連れて帰ることを決めました。
(母・理奈さん)
「(夫婦)2人ともすぐ家に連れて帰ろう、となった。毎年ひきつけを起こした日がくるのが怖かったが、だいぶ落ち着いた時には、毎年の誕生日をすごくうれしく思えるようになった」 「日々の竜ちゃんの成長がいつもうれしかった」
現在、岡山市から受け取っている手当は、特別児童扶養手当と障害児福祉手当の2種類。 しかし、竜晴くんの介護には医療費や生活必需品の調達に月10万円ほどかかるため、手当の支給額だけでは十分に足りません。 夫の健太さん(38)は塗装会社で働き、理奈さんはパートに出て家計を助けてきました。 仕事のある日は朝から大忙し。まずは、竜晴くんをデイサービスに預けにいきます。 「おはようございます!」
(デイサービススタッフ)「おはよう竜くん」 (理奈さん)「じゃあよろしくお願いします」
看護師が、医療的ケアや入浴の介助を行ってくれるため、安心して仕事に行けると言います。 (すくすくyell 平田晶奈社長)
「看護師が必要な医療的ケアを、家にいる時と同じタイミングで同じようにさせてもらいながら、施設に通院してくる他の子供たちと一緒に触れ合う時間を作っている」 現在は、訪問美容師を目指すため週に5日、美容サロンで働いています。 サロンのスタッフは全員女性で、理奈さんのように子育てしながら働く人も多く、柔軟な働き方に理解があるといいます。理奈さんもデイサービスの利用時間に合わせたシフトで働いています。 (IPSE 森本美恵子店長)
「(理奈さんは)明るいし前向き。本当に頑張ってくれているし、心強いパートナーだと思っている。一緒に子育てをしていくような気持ちで、もっとたくさんの女性が美容の仕事をあきらめずにやっていけるようにしていきたい」 仕事が休みの日は、竜晴くんの様子を見ながら、昼食を準備します。
(理奈さん)
「ご飯の代わりになる栄養剤。これで普段ご飯を食べている。薬は溶かして注射器に入れて、このまま注入できるようにしている」 (薬・ごはん注入の様子)
「はい、いただきま~す」 午後3時。次男の天晴くん(11)が小学校から帰って来る時間です。天気が良かったこの日は、お散歩がてら、天晴くんを迎えに行くことにしました。 (理奈さん)「天くん!」
(天晴くん)「わあ~」
(理奈さん)「おかえり~ははは」
帰りは、天晴くんがバギーを押して歩きます。 (理奈さん)「あぶないあぶない」
(天晴くん)「大丈夫だって」 家ではいつも一緒にいるという二人。帰宅してゲームを始めた天晴くんを、竜晴くんも横で見守ります。
Q:お兄ちゃん好き?
(次男・天晴くん)「めちゃくちゃ。100%」
(理奈さん)「お兄ちゃんの面倒見てくれるんじゃろ?」
(天晴くん)「うん、いいよ」
Q:将来何なりたいの?
「お医者さん」
Q:どんなお医者さん?
「優しいお医者さんになる」 (理奈さん)「病気治してくれる?」
(天晴くん)「うん」
(理奈さん)「ありがとう、期待しとくな」
(天晴くん)「うん」
(理奈さん)
「お互い、いい影響を与えているというか、親としてはいい兄弟だなと思う。2人そろっているのを見た時にすごくうれしいし、楽しい。1人欠けてもダメだと感じる」 障害があっても、一生懸命生きていることを知ってほしい。野田山家にはきょうも、家族の明るい声が響いています。 「みんなで握手。いえーい」
重い障害があっても、できるだけ他の子供と同じように子育てをしたい。そう願いながら、懸命に寝たきりの息子の在宅介護を続ける岡山市のある母親の姿を追いました。
野田山理奈さん、35歳。 そして、理奈さんの息子・竜晴くん(13)、中学1年生です。 好奇心旺盛でとても活発な子だったという竜晴くん。しかし、1歳半の時に突発性発疹に伴う急性脳症を発症。全身にまひが残り、寝たきりの状態になりました。 (母・理奈さん)
「病院でひきつけを起こして、2時間けいれんして、その日にはもう「峠です」と先生から言われて。その時お腹に下の子がいたが、ショックで早産しかけた。なんでうちの子が、なにか悪いことしたかなとか、なんで私の子だけがこうならないといけないのかとすごく思ったし、当時は毎日泣いていた」 自分の意思では身体を動かすことができず、話すこともできなくなった竜晴くん。当時24歳だった理奈さんは、病院側から施設に預けることを勧められましたが、竜晴くんは夫婦にとって3回の流産を経験したのち、ようやく授かった待望の我が子。片時も離れたくないという思いから、自宅に連れて帰ることを決めました。
(母・理奈さん)
「(夫婦)2人ともすぐ家に連れて帰ろう、となった。毎年ひきつけを起こした日がくるのが怖かったが、だいぶ落ち着いた時には、毎年の誕生日をすごくうれしく思えるようになった」 「日々の竜ちゃんの成長がいつもうれしかった」
現在、岡山市から受け取っている手当は、特別児童扶養手当と障害児福祉手当の2種類。 しかし、竜晴くんの介護には医療費や生活必需品の調達に月10万円ほどかかるため、手当の支給額だけでは十分に足りません。 夫の健太さん(38)は塗装会社で働き、理奈さんはパートに出て家計を助けてきました。 仕事のある日は朝から大忙し。まずは、竜晴くんをデイサービスに預けにいきます。 「おはようございます!」
(デイサービススタッフ)「おはよう竜くん」 (理奈さん)「じゃあよろしくお願いします」
看護師が、医療的ケアや入浴の介助を行ってくれるため、安心して仕事に行けると言います。 (すくすくyell 平田晶奈社長)
「看護師が必要な医療的ケアを、家にいる時と同じタイミングで同じようにさせてもらいながら、施設に通院してくる他の子供たちと一緒に触れ合う時間を作っている」 現在は、訪問美容師を目指すため週に5日、美容サロンで働いています。 サロンのスタッフは全員女性で、理奈さんのように子育てしながら働く人も多く、柔軟な働き方に理解があるといいます。理奈さんもデイサービスの利用時間に合わせたシフトで働いています。 (IPSE 森本美恵子店長)
「(理奈さんは)明るいし前向き。本当に頑張ってくれているし、心強いパートナーだと思っている。一緒に子育てをしていくような気持ちで、もっとたくさんの女性が美容の仕事をあきらめずにやっていけるようにしていきたい」 仕事が休みの日は、竜晴くんの様子を見ながら、昼食を準備します。
(理奈さん)
「ご飯の代わりになる栄養剤。これで普段ご飯を食べている。薬は溶かして注射器に入れて、このまま注入できるようにしている」 (薬・ごはん注入の様子)
「はい、いただきま~す」 午後3時。次男の天晴くん(11)が小学校から帰って来る時間です。天気が良かったこの日は、お散歩がてら、天晴くんを迎えに行くことにしました。 (理奈さん)「天くん!」
(天晴くん)「わあ~」
(理奈さん)「おかえり~ははは」
帰りは、天晴くんがバギーを押して歩きます。 (理奈さん)「あぶないあぶない」
(天晴くん)「大丈夫だって」 家ではいつも一緒にいるという二人。帰宅してゲームを始めた天晴くんを、竜晴くんも横で見守ります。
Q:お兄ちゃん好き?
(次男・天晴くん)「めちゃくちゃ。100%」
(理奈さん)「お兄ちゃんの面倒見てくれるんじゃろ?」
(天晴くん)「うん、いいよ」
Q:将来何なりたいの?
「お医者さん」
Q:どんなお医者さん?
「優しいお医者さんになる」 (理奈さん)「病気治してくれる?」
(天晴くん)「うん」
(理奈さん)「ありがとう、期待しとくな」
(天晴くん)「うん」
(理奈さん)
「お互い、いい影響を与えているというか、親としてはいい兄弟だなと思う。2人そろっているのを見た時にすごくうれしいし、楽しい。1人欠けてもダメだと感じる」 障害があっても、一生懸命生きていることを知ってほしい。野田山家にはきょうも、家族の明るい声が響いています。 「みんなで握手。いえーい」