2024.05.27
“所有者不明の土地”放置でどんな問題が?早めの相続登記で守る自分の権利 【急上昇N 岡山・香川】
毎週水曜日は急上昇ニュース。持ち主がわかっていない土地、「所有者不明の土地」が全国で問題になっています。その対策が動き出しました。担当は長尾アナウンサーです。
(長尾龍希アナウンサー)
「岸下さん、中塚さん。国内には一体どれくらいの所有者不明の土地があるかご存じでしょうか?」
(岸下恵介キャスター)
「漠然と増えているイメージはあるが、数字で示せと言われるとなかなか…」
(長尾龍希アナウンサー)
「法務省によりますと、国内の実に約24%、九州とほぼ同じ面積に匹敵するそうです。所有者不明の土地は、環境や治安の悪化にもつながるため、今、問題になっています。その現場を取材しました」 5月中旬。総社市内のある山林に、法務局の職員が入っていきました。 (職員)「多分、この上ですね」
この山には、持ち主の分からない所有者不明の土地があります。
所有者不明の土地とは登記簿に持ち主の記載が無かったり、持ち主と連絡が付かない土地のこと。持ち主が亡くなり、土地が相続される際、名義変更がないまま放置されることで発生します。
所有者不明の土地は、
・公共事業や災害の復興事業の妨げに
・不法占拠による治安の悪化
・不法投棄による環境の悪化 など様々な問題につながります。 (岡山地方法務局 松浦純志次席登記官)
「(所有者不明の土地は)公共事業や民間の用地取得に対し大きな阻害要因。相続登記に関心を持って、自分の持っている土地を確認してもらい、登記にどのような記載がされているのか、もう一度確認してほしい」 法務局では、所有者不明の土地の解消事業を行っていて、特定された現在の持ち主を登記し、通知書を送っています。
(岸下恵介キャスター)
「このエリアでも問題になっているんだなと感じましたし、さまざまな問題につながっていくので、本当に根深い」
(中塚美緒キャスター)
「約24%もあるので、それを一つずつ聞き取りをしたりというのが、本当に大変な作業ですね」
(長尾龍希アナウンサー)
「実際、東日本大震災の時も、所有者不明の土地のため、復興事業が円滑に進められないことが多かったそうです。こうした問題を解消しようと、4月に法律が改正されました。それが「相続登記申請の義務化」です。つまり、持ち主が亡くなって、土地を相続する際、名義変更することが義務化されました。期限は、自分が相続したと知った日から3年以内。正当な理由なくこの期限を過ぎると、10万円以下の過料が課せられます。自分も対象かもしれないと、相談窓口を訪ねる人が今、相次いでいます」 岡山市で5月21日に開かれた司法書士の無料相談会にも、相続登記の義務化に関する相談が多く寄せられていました。特に多いのが、兄弟など相続する人が複数いるケースです」 (岡山県司法書士会 中村文彦会長)
「誰かの名義にするには法律上の相続人全員の同意が必要。相続が開始したらなるべく早めに相続人の間で話し合いをして、遺産分割をして相続登記をすることをおすすめする」 相続登記を行わずに放置してしまうと、複数いる相続人の中の誰かが亡くなるなどして、手続きがより複雑になることもあります。 中村会長は自分の権利を守るためにも、早めの名義変更を行ってほしいと訴えます。
(岡山県司法書士会 中村文彦会長)
「他人から土地や建物を購入する場合は間違いなく自分の名義に移すと思う。しかし相続登記というのは、例えば父親・母親が亡くなる、その名義を相続人が受け継ぐことになると登記をしなくてもよいと考える人もいる。将来の世代のために、自分の権利を守るために、相続登記を行ってほしい」
(岸下恵介キャスター)
「遺産の分割協議が難航していくこともありそうですね」 (長尾龍希アナウンサー)
「協議が難航した場合は、「相続人申告登記」という手続きをしておけば、10万円以下の過料を一旦は免れることができるということです。この「相続人申告登記」は、相続人一人一人が、登記簿上の所有者、その相続人ですよ、と申告する手続きです。
(中塚美緒キャスター)
「土地を相続したとしても、離れていたりで使い道がなかったりする場合もあるのでは」
そういう土地を手放したい時は、「相続土地国庫帰属制度」という、土地を国に引き取ってもらえる制度もあります。ただ、手数料がかかったり、建物は撤去しないといけないなど、審査も大変のようです。 ここまで、所有者不明土地の問題と、2024年の春に始まった相続登記の義務化についてお伝えしました。今回の法改正は先祖代々受け継いだ土地をどのように扱うのか、一人一人が考えるきっかけになりそうです。
以上、急上昇ニュースでした。
「岸下さん、中塚さん。国内には一体どれくらいの所有者不明の土地があるかご存じでしょうか?」
(岸下恵介キャスター)
「漠然と増えているイメージはあるが、数字で示せと言われるとなかなか…」
(長尾龍希アナウンサー)
「法務省によりますと、国内の実に約24%、九州とほぼ同じ面積に匹敵するそうです。所有者不明の土地は、環境や治安の悪化にもつながるため、今、問題になっています。その現場を取材しました」 5月中旬。総社市内のある山林に、法務局の職員が入っていきました。 (職員)「多分、この上ですね」
この山には、持ち主の分からない所有者不明の土地があります。
所有者不明の土地とは登記簿に持ち主の記載が無かったり、持ち主と連絡が付かない土地のこと。持ち主が亡くなり、土地が相続される際、名義変更がないまま放置されることで発生します。
もともと畑として利用されていたこの土地。登記されている持ち主は昭和初期に亡くなった男性のままでした。
現在はいくつかの墓石が建てられています。法務局の職員は墓石に刻まれた名前や近隣住民への聞き取りでその子孫を探し、現在の持ち主を特定します。所有者不明の土地は、
・公共事業や災害の復興事業の妨げに
・不法占拠による治安の悪化
・不法投棄による環境の悪化 など様々な問題につながります。 (岡山地方法務局 松浦純志次席登記官)
「(所有者不明の土地は)公共事業や民間の用地取得に対し大きな阻害要因。相続登記に関心を持って、自分の持っている土地を確認してもらい、登記にどのような記載がされているのか、もう一度確認してほしい」 法務局では、所有者不明の土地の解消事業を行っていて、特定された現在の持ち主を登記し、通知書を送っています。
(岸下恵介キャスター)
「このエリアでも問題になっているんだなと感じましたし、さまざまな問題につながっていくので、本当に根深い」
(中塚美緒キャスター)
「約24%もあるので、それを一つずつ聞き取りをしたりというのが、本当に大変な作業ですね」
(長尾龍希アナウンサー)
「実際、東日本大震災の時も、所有者不明の土地のため、復興事業が円滑に進められないことが多かったそうです。こうした問題を解消しようと、4月に法律が改正されました。それが「相続登記申請の義務化」です。つまり、持ち主が亡くなって、土地を相続する際、名義変更することが義務化されました。期限は、自分が相続したと知った日から3年以内。正当な理由なくこの期限を過ぎると、10万円以下の過料が課せられます。自分も対象かもしれないと、相談窓口を訪ねる人が今、相次いでいます」 岡山市で5月21日に開かれた司法書士の無料相談会にも、相続登記の義務化に関する相談が多く寄せられていました。特に多いのが、兄弟など相続する人が複数いるケースです」 (岡山県司法書士会 中村文彦会長)
「誰かの名義にするには法律上の相続人全員の同意が必要。相続が開始したらなるべく早めに相続人の間で話し合いをして、遺産分割をして相続登記をすることをおすすめする」 相続登記を行わずに放置してしまうと、複数いる相続人の中の誰かが亡くなるなどして、手続きがより複雑になることもあります。 中村会長は自分の権利を守るためにも、早めの名義変更を行ってほしいと訴えます。
(岡山県司法書士会 中村文彦会長)
「他人から土地や建物を購入する場合は間違いなく自分の名義に移すと思う。しかし相続登記というのは、例えば父親・母親が亡くなる、その名義を相続人が受け継ぐことになると登記をしなくてもよいと考える人もいる。将来の世代のために、自分の権利を守るために、相続登記を行ってほしい」
(岸下恵介キャスター)
「遺産の分割協議が難航していくこともありそうですね」 (長尾龍希アナウンサー)
「協議が難航した場合は、「相続人申告登記」という手続きをしておけば、10万円以下の過料を一旦は免れることができるということです。この「相続人申告登記」は、相続人一人一人が、登記簿上の所有者、その相続人ですよ、と申告する手続きです。
(中塚美緒キャスター)
「土地を相続したとしても、離れていたりで使い道がなかったりする場合もあるのでは」
そういう土地を手放したい時は、「相続土地国庫帰属制度」という、土地を国に引き取ってもらえる制度もあります。ただ、手数料がかかったり、建物は撤去しないといけないなど、審査も大変のようです。 ここまで、所有者不明土地の問題と、2024年の春に始まった相続登記の義務化についてお伝えしました。今回の法改正は先祖代々受け継いだ土地をどのように扱うのか、一人一人が考えるきっかけになりそうです。
以上、急上昇ニュースでした。