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2024.08.10

安心して街を歩けるまでやめない!視覚障害者との出会い機にゴミ拾いに情熱を燃やす兄妹の熱い夏【岡山】

目が不自由な人も安心して歩ける街をつくりたいと、”ごみ拾い”や“点字ブロックの点検”を行う兄妹が岡山市にいます。兄妹が活動に情熱を傾けるきっかけは、ある視覚障害者との出会いでした。

■ごみ拾いの様子
(丸内志織ちゃん)
「めっちゃ暑い!」「この間取ったばっかりなのに」
(丸内陽仁(はると)君)
「うわっ、でっかいなあ」

夏休み、暑さに負けずゴミ拾いをするのは、岡山市に住む丸内陽仁君(13)と志織ちゃん(10)兄妹です。

(丸内陽仁君)
「拾い続けます!地球にすんでいる生き物のために」
(丸内志織ちゃん)
「私たちがスタートとなってやっていかないと、何より人間が困るから、みんなを救うために」

中学2年の陽仁君と小学5年の志織ちゃんは、街を歩いてごみを拾ったり、県内各地で開催されるごみ問題を考えるイベントにも参加しています。2024年は熱心な活動を評価され、2人で環境学習会の講師を務めるほどの強者です。

きっかけは約3年前。

(丸内志織ちゃん)
「鈴木さんの盲導犬がマスクを食べて死んでしまったと、お母さんが悲しそうに言っていた」

母・郷子さんが交流していた全盲の女性・鈴木鈴子さん(65)の2代目の盲導犬が、道に落ちていたマスクを誤って飲み込み死んでしまったことを聞いたのです。

(丸内志織ちゃん)
「本当に悔しいし、悲しいし、捨てた人に怒りもあるし、自分たちにできることは何でもしたいという気持ち」

(丸内陽仁君)
「すぐ行動しましたね、一つでも多く(ごみを)拾って生き物を救おう!」

(鈴木鈴子さん)
「マイナスをプラスにもっていくのはそのころの私にはその頃になかった発想。ちょっとうれしかった」

2人は鈴木さんに声をかけ、3代目の盲導犬と一緒にごみを拾いながら街歩きを始めたのです。

「もう少し先に、ちょっと色が違っている所、白。ちょっと焼けて」
「鈴木さん、この辺、全然点字ブロック感じないんだけど、あるかな?」
「あります。一応黄色」

(鈴木鈴子さん)
「ごみを拾いながら点字ブロックが欠けている場所、色が薄くなっているとか、すごいな、子供の気付きは素晴らしいなと」

丸内兄妹は、ごみだけでなく点字ブロックの上にものが置いてあるなど、街の中での課題が多いことを知り点検もスタート!毎年3月に行われる、岡山が発祥の地、点字ブロックの啓発イベントにも参加し、視覚障害者への理解を深めていきました。

*竹内先生の案内をする陽仁くん
*啓発イベントでテンション高めの2人

そこで出会ったもう一人の視覚障害者に心を奪われ、2人の活動は加速していくのです。

(丸内志織ちゃん)
「大好き」
(丸内陽仁君)
「めっちゃ大好き、(両手を大きく広げて)こんくらい大好き。竹内先生に対して、俺にとっての愛情が、大好き」

竹内昌彦さん(79)。岡山盲学校の元教頭で、点字ブロックの普及活動を続けています。7年前からは、アジアの目の不自由な子供たちの手術費用を支援する活動を始めました。

(丸内志織ちゃん)
「まだ見えるようになる希望がある子供たちを助けているところなど、尊敬します」

(丸内陽仁君)
「助けられる人に思い切り手を尽くすところ」

竹内さんの親衛隊になった兄妹は、壊れた点字ブロックの修理もしてほしいと・・・。

*写真撮る丸内陽仁君
「竹内さんに知らせて、修理してくださいと頼む」

点字ブロックの上や近くにものを置かないようにと、県議会議員にお願いにも行きました。

(丸内陽仁君)
「白杖(はくじょう)が引っ掛かると、目が見えない人は取るのが大変。自転車はなるべく点字ブロックの周りに置かないようにしてほしい」

盲導犬と暮らす人や、点字ブロックが必要な視覚障害者のために、2人は、行動を起こさずにはいられなくなりました。

(竹内昌彦さん)
「これ何か書いてある?」
(丸内陽仁君)
「ブライトニングファンデ」
(竹内昌彦さん)
「こっちは?」
(丸内陽仁君)
「ホワイトニングエッセンス。チューブ状のファンデですね」

7月、岡山市で行われた視覚障害者のためのスキンケアセミナーです。丸内兄妹は、ボランティアで参加しました。

(丸内志織ちゃん)「もうちょっと」
(鈴木鈴子さん)「こっち?」

(インストラクター)
「優しく、お顔をひよこだと思って」
(丸内陽仁君)
「ひよこ、もうちょっと優しく」
(竹内昌彦さん)
「うちのひよこ強い」
(丸内陽仁君)
「竹内先生のひよこじゃなくて一般的なひよこ」
(竹内昌彦さん)
「ダチョウのひよこ」

(竹内昌彦さん)
「障害のある人にすっと自然に接していける感覚、これを育てていってくれたらみんな喜ぶ、それが優しくて温かで、かわいくていい。立派な日本人になると思う」

(鈴木鈴子さん)
「私だけではなく、他の視覚障害の人たちにもどんどん役に立つ人になる。このまま大きくなってほしい」

目が不自由な2人との出会いが兄弟の原動力なのです。

(丸内陽仁君)
「たくさんの人が一瞬で笑顔になれるような人間になりたい。ごみが一つもないような環境作るまで、やめない」

(丸内志織ちゃん)
「目が見えるから、見えないからという差別がなくなり、助け合える社会になったらめっちゃいい、絶対なる、して見せる!」

誰もが、安心して歩ける街に・・・。若い力がそんな未来を拓いていきます。