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2024.08.22

望まない妊娠・性被害に悩む女性を救おうと医師と薬局が連携し提供する「緊急避妊薬」の選択肢【岡山】

夏休みで外出や交流の機会が増える今、知ってほしい「緊急避妊薬」について取材しました。望まない妊娠に悩む女性のために岡山市の医師が中心になって立ち上げたプロジェクトがあります。

岡山県内の大学に通う平岡詩織さん<仮名>。高校3年の17歳の時、緊急避妊薬を服用しました。

(高校3年の時に緊急避妊薬を服用した 平岡詩織さん<仮名>)
「当時付き合っていた彼氏と性行為をした時(避妊具が)私の中に残ってしまって、妊娠しているかはわからないけど、念のため緊急避妊薬を服用した」
緊急避妊薬01
避妊の失敗や、性犯罪の被害などによる望まない妊娠を防ぐための薬が緊急避妊薬、別名アフターピルです。性行為後72時間以内に服用することで、主に排卵を遅らせるなどの作用が働き、高い確率で妊娠を防ぐことが出来るとされています。
緊急避妊薬02
(平岡詩織さん<仮名>)
「アフターピルがある事は知っていたが、どうやったらもらえるのかわからなかった」

緊急避妊薬はWHO(世界保健機関)の必須医薬品に指定されていて、海外の多くの国ではすでに薬局での一般販売が行われています。
緊急避妊薬03
一方、日本では、医師の診察や処方せんが必要なことに加え、公的医療保険の対象外のため診療代と薬代、合わせて1万から2万円を自費で支払う必要があります。

(平岡詩織さん<仮名>)
「親にばれたくなかったので、まず通販で申し込みをしようとしたが、18歳以上じゃないとだめで、そもそも高校を卒業しないとだめだった。そんなの無理じゃん、とパニックに近かった。時間が経つにつれて、どうしようと不安や焦りがあった」
緊急避妊薬04
詩織さんは、わらにもすがる思いでネットの検索画面に表示されたクリニックに電話をかけます。

(平岡詩織さん<仮名>)
「泣きそうになりながら電話をかけたら先生が「いいよ、おいで」と言ってくれた。「大変だったね、これを飲んだら大丈夫だからね」と説明してくれた」

無事、緊急避妊薬のリミットとされる72時間以内に服用することが出来ました。

(平岡詩織さん<仮名>)
「ギリギリだった。(効果があるとされる)72時間ギリギリの60時間くらいで飲んだ」

このとき詩織さんを救ったのが、「アフターピルプロジェクト」。
緊急避妊薬05
岡山市北区にあるウィメンズクリニックかみむらの上村茂仁院長が中心となって進めています。
緊急避妊薬06
(ウィメンズクリニックかみむら 上村茂仁院長)
「できるだけ早く処方できた方がいい。ネットや通販でも販売しているが、発送に時間がかかる。その場でもらえるようにしないといけない」
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上村院長を中心に、医師と県内外の26薬局が連携。緊急避妊薬を必要とする女性が、薬局で医師のオンライン診察を受ければ、その場で薬を入手できる仕組みです。
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24時間オンラインでの診療に対応していて、プロジェクトを開始してから3年弱で延べ1000人以上の女性に処方してきました。
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この日もクリニックでは、加盟薬局を訪れた女性のオンライン診察が行われていました。診察時間は5分ほど。女性は薬局を訪れてから10分程度で、緊急避妊薬を服用できました。
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(ウィメンズクリニックかみむら 上村茂仁院長)
「敷居はできるだけ低くした方が気楽にもらいやすいと思うし、せっかくオンラインにしているのに根掘り葉掘り聞くと意味がない。説明も動画でみてもらう」

アフターピルプロジェクトに加盟するあかり薬局は、最前線で緊急避妊薬を処方しています。
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(あかりファーマシー 岩野寛樹代表取締役)
「来局したら速やかに別室で問診を書いてもらう。問診票には避妊に失敗した時間や薬の併用などを書いてもらう」
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夏休み期間や連休明けは、特にニーズが高まるといいます。

(あかりファーマシー 岩野寛樹代表取締役)
「一番多かったのは今年(2024年)のゴールデンウィーク。(1日)10件対応した薬局があった。うちの薬局でも休日の多い時は1日5件対応することがある」
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厚生労働省が2021年に全国の産婦人科医を対象に行った調査では、緊急避妊薬の処方が最も多い曜日は休み明けの月曜日で全体の半数を占めています。
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また、緊急避妊薬を必要とした理由の多くは「避妊具の脱落・破損」がほとんどでしたが、「相手が避妊に非協力だった」や、中には「同意のない性交」「性暴力」など犯罪に巻き込まれたケースも・・・
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(ウィメンズクリニックかみむら 上村茂仁院長)
「避妊に失敗することはよくあること、コンドームだけの避妊では医学的には確実ではない。ちゅうちょしてしまうと妊娠するか、しないかしかない。1%でも妊娠する可能性があれば、ちゅうちょせず緊急避妊薬をもらいに来てくれたら」
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望まない妊娠を少しでも減らし、世代を問わず性被害に悩む全ての女性を救いたい、その一心で、医師と薬局が独自に連携したアフターピルプロジェクト。緊急避妊薬は全ての女性に与えられた自分を守るための選択肢です。
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