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オンライン朗読などで広がる可能性…岡山県立図書館の「障害がある人全員が楽しめる」読書機会への挑戦

2024.10.17

オンライン朗読などで広がる可能性…岡山県立図書館の「障害がある人全員が楽しめる」読書機会への挑戦

秋の夜長に読書を楽しむ人は多いと思います。一方、様々な障害で読書ができない人もいます。そうした人を取り残さない取り組みを、岡山県立図書館が始めました。

■対面朗読の様子
(山崎康正さん)
「(太宰治の)「人間失格」の続きから・・・」

ボランティアによる朗読に耳を傾ける岡山市中区の山崎康正さん(64)。16歳のころに「発達障害」の一つで、文字の理解が困難な「学習障害」の症状が現れました。

(山崎康正さん)
「視覚障害ではなくて精神障害なのですが、本を目で追うが、頭に入ってこない」

今も一人で本を読むのは難しい状況ですが、朗読された内容を耳で聞いて理解することはできます。

(山崎康正さん)
「本と親しみを持ちたいが、読めないことに煩わしさを感じたりしたことが多かったが、「対面朗読」で内容を把握できる」

山崎さんのような障害がある人に向けた取り組みを始めたのが、岡山市北区にある蔵書数約160万冊の岡山県立図書館です。全国に59ある都道府県立の図書館の中で、トップクラスの記録を持ちます。年間の来館者は約80万人で2位、個人貸し出し数は約119万冊で1位となっています。

(岡山県立図書館サービス第一課 二熊恒平さん)
「全ての資料を1冊ずつ収集しているのでたくさんの種類の本がある。その点で多くの人のニーズに応えられる図書館になっている」

9月25日に開館20周年を迎えて注目される中、次に挑戦するのが読書の喜びを全ての人に知ってもらうことです。

(岡山県立図書館サービス第一課 二熊恒平さん)
「目が不自由・体が動かなくて(本を)読めない人がいる。そういう人に適切に資料を届けられることがきちんとできれば、感謝されるし図書館としても力を入れていかなければならない」

この図書館が山崎さんのような人に提供する朗読は、「対面朗読」と呼ばれます。事前に予約すれば2時間を上限に誰でも利用することができます。山崎さんは週1回利用しています。

また図書館では障害がある人が本に親しめる工夫を次々に取り入れています。

(岡山県立図書館サービス第一課 二熊恒平さん)
「LLブックは知的障害や自閉症、学習障害など、通常の活字の読書が困難な人が理解できるように優しい言葉や文章・ピクトグラム(絵や図で情報を伝える記号)を使って内容を説明してくれる資料になります」

そしてこちらは・・・

(岡山県立図書館サービス第一課 二熊恒平さん)
「布でできている絵本です」

全体が布で作られた絵本。触ることによって絵の形が分かるようになっていて、感触で内容を楽しめます。

またこのようなものも…。

(中西源太記者)
「マルチメディアデイジーと呼ばれるもので、読書が困難な人でも簡単に楽しむことができる。例えば文字を大きくしたり背景の色を変えたりして人それぞれの読み方で楽しむことができる」

ただ、こうした取り組みによる恩恵は、当然、図書館を訪れないと得られません…。

それを乗り越えようと進めているのがオンライン化です。図書館から約50キロ離れた美作市に住む赤堀和生さん(67)です。生まれつきの目の病気で小学1年から視力の低下が始まり、31歳の時に失明しました。

(赤堀和生さん)
「視力が低下し始め、文字が一本の棒みたいに見えたり、うねうねと動き出したから(読書を)やめた」

ただ、小説などの活字を楽しみたいという気持ちが消えることはありませんでした。

(赤堀和生さん)
「本を読むのを諦めていたが、「対面朗読」を見つけて三国志をお願いしたら本があり、やっと夢がかなった」

岡山県立図書館が始めたオンラインによる「対面朗読」を利用し、人生がガラリと変わったのです。

(赤堀和生さん)
「視覚障害者は情報が入ってこない。図書館がオンライン(対面朗読)しているのをもっと広げてもらったらみんなが利用しやすくなる。ものすごく助かっている」

(岡山県立図書館サービス第一課 二熊恒平さん)
「岡山県立図書館は皆さんに活用してもらい無事に20周年を迎えることができた。今後30周年、40周年に向けて多く使ってもらえるように努力していきたい」

全国トップクラスの記録を持つ岡山県立図書館。光が当たらなかったところに光を当てる存在として、新たな役割を担おうとしています。
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