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2025.01.28

毎日「ただいま」と帰ってくるのが普通…操山高生自殺から13年経過後の再発防止策公表に遺族は…【岡山】

2012年、岡山市の県立高校で男子生徒が部活動の監督から叱責を受け自殺した問題。教育委員会が検討していた再発防止策が1月に公表されました。男子生徒が亡くなって13年、ようやく再発防止に踏み出します。

◇仏壇の前手を合わせる男子生徒の父親
(男子生徒の父親)
「(完成したことについて)とてもハッピーな感情では伝えられなかった。やっとここまできたよということくらい」
操山自殺再発防止策01
野球が大好きで真面目な性格だったという男子生徒。岡山操山高校の野球部でマネージャーをしていた生徒は、監督の体罰や言動によって精神的に追い詰められていきました。
操山自殺再発防止策02
そして2年の夏。
(野球部監督)
「男子だし、マネージャーだったら声を出せ。声を出さなかったらマネージャーの存在価値はねーんじゃ」
操山自殺再発防止策03
男子生徒は帰宅後に外出し、そのまま帰ってきませんでした。

(男子生徒の父親)
「亡くなった日、このかばんをここに置いて、家族の誰とも会うことなく出かけていった。その当時のまま、13年前のままここにある」
操山自殺再発防止策04
当初、自殺の原因は学校から明らかにされず、遺族は第三者委員会での調査を強く要望。「監督の叱責が原因」と結果が報告されたのは男子生徒の死から9年後でした。
操山自殺再発防止策05
これを受け、県教委は遺族に謝罪、監督だった教諭を停職3カ月の懲戒処分とし外部の有識者や遺族を交え教員の指導を見直す再発防止策の策定に取りかかりました。
操山自殺再発防止策06
(男子生徒の父親 2022年当時のインタビュー)
「不適切な教員の指導で亡くなったということを県教委がようやく理解してくれた」
操山自殺再発防止策08
それから、さらに4年…。1月、再発防止策の最終版が公表されました。再発防止策は6つの柱で構成されています。
操山自殺再発防止策09
体罰を防ぐハンドブックを見直し、教員や生徒、保護者らが視聴する教育ビデオを新たに制作。男子生徒の事案を含めた具体的な事例を映像化します。
操山自殺再発防止策10-1
このほか、児童生徒の自殺防止対策と起きた場合の初期対応などを示した基本方針のほか、懲戒処分の指針に「不適切な指導」に関連する項目を新たに設けました。
操山自殺再発防止策10-2
まとまった再発防止策の実効性について生徒指導の専門家はこう分析します。

(高知大学教育学部 加藤誠之教授)
「ただ教員が読むだけでなくチェックシートを使うのは一定の効果があると思う。ただこれを使うだけでなく、それ以上に現場できちんと浸透するように日常の勤務の中での研修を各学校でやっていると思うが、そういう場で時間を割いて今回のビデオなども見てもらうなど制度化して必ずやってもらうことが必要になる」
操山自殺再発防止策11
また、この問題には「学校の閉鎖性」が深く関わっていると指摘しています。

(高知大学教育学部 加藤誠之教授)
「保護者に見に来てもらうなど学校活動に第三者の目が入るようにする、生徒の意見も聞く、こうした自治的な動きをしっかり受け止めて学校運営に反映させていくことをしなければ学校は閉鎖的になり一部の教師の考え方だけで動いてしまうということになりかねない」

遺族はこれまで県教委と面談やメールのやり取りを重ね、より効果的な策になるよう働きかけてきました。
操山自殺再発防止策12
(男子生徒の父親)
「(資料の)色が入った部分が不足していた。われわれと教育委員会の認識の違いかなと。遺族が声をあげ続けないと効果的な再発防止策に結び付かない。特に指導死事案の場合は本当に前に進まないんだと思った」 
操山自殺再発防止策13
最終盤となるまで長期にわたった再発防止策。その間、遺族の意見が十分に反映されなかったり、回答に時間がかかったりと県教委への不信感は拭えないといいます。息子の死から13年、ただ求め続けてきたのは子供も親も安心できる学校環境です。

(男子生徒の遺族)
「親としては学校を信頼しているので、朝「行ってきます」という子供を送り出して、毎日「ただいま」と帰ってくるのが普通。その普通ができる学校環境にしてもらいたい」
操山自殺再発防止策15
ようやく再発防止策がまとまったいま、その実効性が問われています。