2023.07.05
“魔の用水路” 年齢・性別問わず転落の恐れ 対策しても一向に減らず…理由は?【急上昇N 岡山】
今話題のニュースやネットで関心を集めたニュースを詳しく解説する「急上昇ニュース」。配信担当の堀さんです。
今回のテーマは、「岡山で多発する用水路転落事故」です。全国的にもニュースになり、対策も取られていますが、一向に減りません。その理由を探りました。
「去年(2022年)7月に用水路転落事故があった現場です。夜になると辺りは真っ暗です。女性は午前2時すぎ、この細い道を自転車で走っている時に、誤って用水路に転落し、亡くなりました」 亡くなったのは、アルバイト先に出勤中の当時53歳の女性でした。岡山市中区倉田の市道に沿って流れる深さ1メートル、水深当時50センチの用水路。女性は何らかの理由で転落し、溺れて亡くなりました。辺りは田園地帯で事故の後、反射材がつけられましたが、夜は真っ暗です。 事故は街中でも。倉敷駅に近い老松町では2022年12月17日午後9時過ぎ、帰宅中の54歳の女性が自転車で用水路に転落しました。死因はやはり溺死でした。 街中とはいえ、夜になれば周辺は真っ暗になります。 (岡山県警 神門敦交通事故抑止対策官)
「当時はガードパイプが無かったので、そのまま転落した。水深は当時30センチくらいしかなかった。(それほど深くないですね?)落ちた時に脳震盪を起こしたとも想像できる」 状況によっては、水深10センチでも溺死するといいます。道路を管理する自治体は、「どんな場所で用水路転落事故が起きやすいのか」、過去のデータを分析しました。ところがその結果は… (岡山市道路港湾管理課 岡村満課長補佐)
「どこでも落ちる可能性がある、点在していることがわかった。幅の広い、見通しのいい所、昼間でも転落している。原因がわからないのも問題」
どんな場所でも、年齢、性別を問わず転落する可能性があるという結果が出ました。 岡山市では8年前から危険箇所の安全対策を順次進めていますが、事故が目立って減った結果は出ていません。というのも、対策できるのはごくわずかだからです。
(岡山市道路港湾管理課 岡村満課長補佐)
「4000キロのうち90キロ。かなりの延長が残っている」 農業県の岡山には用水路が張り巡らされていて、岡山市だけで全国の1%にあたる4000キロあるといいます。
(岡山市道路港湾管理課 岡村満課長補佐)
「全部を付けるのはものすごく難しい。付けているうちに古いのがダメになってしまうので、直さないといけない。追いつかないです、正直」
また、近隣住民の生活や農作業の利便性を考えると、単純にガードパイプをつければOKという訳にはいきません。
(岡山県警 神門敦交通事故抑止対策官)
「見ての通り田んぼが沢山あって、水を引く時など工作物を設置すると水を汲みにくくなったりする」
用水路の周りでは、通行する側が危険を認識し、特に安全に配慮することが必要です。しかし取材中にもスマホを操作しながら自転車に乗る人など、危険な光景が何度か見られました。
(岡山県警 神門敦交通事故抑止対策官)
「自転車の飲酒運転も禁止されているので、酒を飲む時は公共交通機関を使って、間違っても自転車を利用しようと思わないでいただきたい」 岡山市の用水路は総延長4000キロあります。市は13億円をかけて2500カ所の安全対策を行いました。その距離は90キロ。2%あまりに過ぎません。すべての用水路で対策が必要というわけではありませんが、あまりの用水路の多さに対策は追いついていません。
このため市は、ハード面だけでなくソフト面の対策として、「用水路転落事故防止」を呼びかける啓発チラシを作り、区役所や公民館などに置いています。
用水路の転落事故は高齢者だけではなく、今回取材した現場では、いずれも50代の女性が犠牲者になっています。飲み会も増えてきました。
夏休みも近づきます。もう一度、身近にある用水路を確認してみてください。
今回のテーマは、「岡山で多発する用水路転落事故」です。全国的にもニュースになり、対策も取られていますが、一向に減りません。その理由を探りました。
「去年(2022年)7月に用水路転落事故があった現場です。夜になると辺りは真っ暗です。女性は午前2時すぎ、この細い道を自転車で走っている時に、誤って用水路に転落し、亡くなりました」 亡くなったのは、アルバイト先に出勤中の当時53歳の女性でした。岡山市中区倉田の市道に沿って流れる深さ1メートル、水深当時50センチの用水路。女性は何らかの理由で転落し、溺れて亡くなりました。辺りは田園地帯で事故の後、反射材がつけられましたが、夜は真っ暗です。 事故は街中でも。倉敷駅に近い老松町では2022年12月17日午後9時過ぎ、帰宅中の54歳の女性が自転車で用水路に転落しました。死因はやはり溺死でした。 街中とはいえ、夜になれば周辺は真っ暗になります。 (岡山県警 神門敦交通事故抑止対策官)
「当時はガードパイプが無かったので、そのまま転落した。水深は当時30センチくらいしかなかった。(それほど深くないですね?)落ちた時に脳震盪を起こしたとも想像できる」 状況によっては、水深10センチでも溺死するといいます。道路を管理する自治体は、「どんな場所で用水路転落事故が起きやすいのか」、過去のデータを分析しました。ところがその結果は… (岡山市道路港湾管理課 岡村満課長補佐)
「どこでも落ちる可能性がある、点在していることがわかった。幅の広い、見通しのいい所、昼間でも転落している。原因がわからないのも問題」
どんな場所でも、年齢、性別を問わず転落する可能性があるという結果が出ました。 岡山市では8年前から危険箇所の安全対策を順次進めていますが、事故が目立って減った結果は出ていません。というのも、対策できるのはごくわずかだからです。
(岡山市道路港湾管理課 岡村満課長補佐)
「4000キロのうち90キロ。かなりの延長が残っている」 農業県の岡山には用水路が張り巡らされていて、岡山市だけで全国の1%にあたる4000キロあるといいます。
(岡山市道路港湾管理課 岡村満課長補佐)
「全部を付けるのはものすごく難しい。付けているうちに古いのがダメになってしまうので、直さないといけない。追いつかないです、正直」
また、近隣住民の生活や農作業の利便性を考えると、単純にガードパイプをつければOKという訳にはいきません。
(岡山県警 神門敦交通事故抑止対策官)
「見ての通り田んぼが沢山あって、水を引く時など工作物を設置すると水を汲みにくくなったりする」
用水路の周りでは、通行する側が危険を認識し、特に安全に配慮することが必要です。しかし取材中にもスマホを操作しながら自転車に乗る人など、危険な光景が何度か見られました。
(岡山県警 神門敦交通事故抑止対策官)
「自転車の飲酒運転も禁止されているので、酒を飲む時は公共交通機関を使って、間違っても自転車を利用しようと思わないでいただきたい」 岡山市の用水路は総延長4000キロあります。市は13億円をかけて2500カ所の安全対策を行いました。その距離は90キロ。2%あまりに過ぎません。すべての用水路で対策が必要というわけではありませんが、あまりの用水路の多さに対策は追いついていません。
このため市は、ハード面だけでなくソフト面の対策として、「用水路転落事故防止」を呼びかける啓発チラシを作り、区役所や公民館などに置いています。
用水路の転落事故は高齢者だけではなく、今回取材した現場では、いずれも50代の女性が犠牲者になっています。飲み会も増えてきました。
夏休みも近づきます。もう一度、身近にある用水路を確認してみてください。