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2年間の「みなし仮設」生活を終えた家族の決断

2020.07.03

2年間の「みなし仮設」生活を終えた家族の決断

西日本豪雨後、真備町以外で仮住まいを余儀なくされた住民は、ピーク時で約9000人。
その多くが、民間の賃貸住宅を行政が借り上げ、被災者に提供する「みなし仮設住宅」に身を寄せました。
50年近く住んだ真備町下二万の自宅を失った田村政徳さん・末子さん夫妻と娘・邦子さんも、そのうちの1組です。

私と田村さんとの出会いは、被災から間もない一昨年の8月。
自宅から5キロ離れた、倉敷市中心部のみなし仮設住宅への入居の様子を密着取材しました。 
当初、2年間の入居期間が設定されていた「みなし仮設」での生活。仕事の再開に友人との交流
…少しずつ日常を取り戻しながらも、今後の暮らしのことで家族の考えはすれ違います。
元の住まいでの生活再建を望む政徳さんと、再び水害に遭うかもしれない恐怖から、
真備に帰ることになかなか積極的になれない末子さん。
意見がまとまらないまま、家族の時間は過ぎていきました。

2年間の仮住まいを終えた今夏、田村さん一家は、真備に帰る選択をしました。
元の土地に、以前よりもひと回り小さな家を建てて―。

決断を後押ししたのは娘・邦子さん。

「両親の残りの人生は、愛着のある真備で過ごしてほしい」

初めは帰還に前向きになれなかった末子さんも、時が経つにつれ、ふるさとへの思いが強くなっていきました。

豪雨から丸2年。

生まれ変わりつつある真備の街で、田村さん一家は新たな暮らしの一歩を、大切な一歩を踏み出しました。

執筆:大野 樹(OHK報道部)
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