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2022.04.04

高級砂糖を使った新作和菓子! 斬新なアイデアで商品を次々と生み出す女性職人【香川】

老舗和菓子屋の5代目にして、斬新な商品を次々と生み出す女性が丸亀市にいます。郷土の伝統を守りながら和菓子に新風を吹かせる彼女の思いに迫ります。

180年以上の歴史を誇る香川の伝統的な砂糖、「讃岐和三盆」。
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その上品な甘さの和三盆にトウガラシの粉末を練り込んだ新感覚の商品から、
菓子職人02
和洋折衷の味わいが存分に楽しめるスイーツまで。店にはバラエティ豊かな商品がずらりと並びます。
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こうした商品が並ぶのは1917年創業、2022年に105年目を迎えた丸亀市の老舗和菓子屋、寶月堂です。
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その5代目で和菓子職人の桑田桃子さん(30)が、若い世代をターゲットにした斬新な商品を生み出しています。

(寶月堂 桑田桃子さん)
「若い方はどうしても、和菓子って法事の時に食べるもの、特別な時に食べるものじゃないかと思っている人が多くて。和菓子を日常のものにしていきたいなと。」
菓子職人05-1
「原材料が少なくアレルゲンが少ないのは昔から何も変わっていないが、それをアプローチする力が和菓子屋は弱い。伝え方を変えていきたい」
菓子職人06
そんな桑田さんが、数ある和菓子の中でその魅力を広めようと力を入れているのが…地元特産の和三盆です。

(寶月堂 桑田桃子さん)
「今、和三盆に色を付けて、こんな風に細かいふるいで舌触りがなめらかになるようにしています。」
「手でこすり合わせて生地をもみ合わせることで、しっかりと水分を均等に行き渡らせています」
 
(森夏美アナウンサー)
「口どけが少ししっとりしているのはこの作業があるからですね」

江戸時代に生まれた和三盆。職人による手作業で生み出される上品な甘さと独特のうまみが多くの人を魅了してきた一方、安価な砂糖の普及や様々な菓子の登場で、桑田さんは新たな一手が必要だと感じていました。

(寶月堂 桑田桃子さん)
「いよいよ型から出ますよ」
菓子職人10
(森夏美アナウンサー)
「お~美しいですね」

できたての和三盆の味は…。

(森夏美アナウンサー)
「さとうきびの香りがすごく口の中に広がりますね」
(寶月堂 桑田桃子さん)
「乾燥した和三盆とは全然違いますよね」
(森夏美アナウンサー)
「本当に口どけがなめらかであっという間になくなります」

郷土の伝統文化、和三盆の魅力を改めて知ってもらいたいと商品開発に取り組む桑田さんは丸亀市内の高校を卒業後、和菓子職人になるため京都の和菓子屋で5年半の修行を積みました。
菓子職人12
その後、同僚だった剛史さんと23歳で結婚。地元に戻り、その技術と感性を生かした商品づくりを始めました。

(寶月堂 桑田桃子さん)
「実際やってみると楽しいことが多くて、想像するより実行することがこんなにもいいことなんだと身をもって体験した。会社も私も丸亀に育ててもらったという恩返しという意味で、丸亀をきっかけに寶月堂を知ってもらう、そのついでに買った和菓子がおいしかったから和菓子っていいなという流れを作っていけたら」
 
こちらはこの春の新作和三盆「ことばいろ」です。日本古来の色の名前をテーマに約半年間、試行錯誤を重ねてきました。
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(寶月堂 桑田桃子さん)
「母親が芸大出身というのもあって家に画材がたくさんあって、画材って面白いなという思いが強くそういう商品を作りたいなと。」
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「和菓子をするのに色はなくてはならないものなので、色にもちゃんと名前があることにフォーカスしたかった」

若者の和菓子に対する価値観を変えたいと、パッケージにもこだわります。
 
(寶月堂 桑田桃子さん)
「印刷がのるとどうしてもインク光が気になる」
「淡色の色の出方が好き。でも、色の重なりがだいぶ濃く見える。黒くなる」
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(寶月堂 桑田桃子さん)
「パっと見て、これがどういう商品なんだろうとまず興味をもってもらう、これ何だという第一印象を」


「こんにちは、ご無沙汰しています。きょうはお時間いただきありがとうございます」
「よろしく」

同業の先輩たちも桑田さんの挑戦を後押ししてくれています。

(寶月堂 桑田桃子さん)
「新しい商品を持ってきたので見てもらいたいです」
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(夢果房たから 濱田浩二代表)
「カラフルでいい、個人的には味が違った方が食べる人面白いかなとは」
(寶月堂 桑田桃子さん)
「味がついている方がいいのかなとも思ったが、本来の香川の和三盆文化を打ち出していきたいので今回は和三盆と色に集中していこうかなと」

(夢果房たから 濱田浩二代表)
「違ういろんな考えを聞けるのは楽しいし、勉強になる。とてもエネルギッシュだ思う、いろいろ次々と考えて。これからどんなものができるのか楽しみ」
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和菓子の世界に新たな風を。若き和菓子職人・桑田桃子さんの目は、伝統の先につながる和菓子の未来を見据えています。

(寶月堂 桑田桃子さん)
「日常になじむような、そのお客さんのアイデンティティとなれるような商品になれれば嬉しいなと。香川でしかできない和菓子作りを今後も続けていきたいと思っています」
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