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2023.09.29

災害時にサイレンの音を“見える化”するアプリ 聴覚障害者を守るため…大学病院で開発が進む【岡山】

岡山市の岡山大学病院に、聴覚障害者の支援を専門に行う聴覚支援センターが設立されて1年。災害から命を守るため、サイレンなどの音を“見える化”するアプリの開発が進められていて、実用化が近づいています。

(岡山大学病院聴覚支援センター 片岡祐子准教授)
「スタートしたら音を認識する。パトカーとかサイレンの音が鳴った時にそれに対して反応する。何秒かおきに振動している」

感知する音は緊急車両の他に、火災警報器や緊急地震速報、津波警報など7種類。腕時計型の端末が振動と画面表示で利用者に音の情報を伝えます。

(岡山大学病院聴覚支援センター 片岡祐子准教授)
「スマートフォンのアプリを使って、(端末に)情報が得られるようにしているところ。緊急車両の音が入ってきた時に振動とディスプレイで表示できるようにしている状況」

岡山大学病院聴覚支援センターで実務を担当する片岡祐子准教授が、このアプリの開発に取り組んでいます。

耳鼻咽喉科の医師でもある片岡さん。大手電機メーカー富士通などと連携し、センターが立ち上がる前から開発に携わっていました。

(岡山大学病院聴覚支援センター 片岡祐子准教授)
「雑音の中から聞きたい音を拾うという機能が正常の聴力の人の耳にはあるが、それが機械だと、どんなにAIが発展しても、そこを細かく聞き分けて振動であり、信号にのせていくのが難しい」

高齢者の聴力の調査や補聴器の技能者教育など、センターで進められてきた約10のプロジェクトのうち、このアプリの開発は片岡さんの肝いり。センター立ち上げから1年がたった今、実用化が近づいていて、実際に聴覚障害者に使ってもらう実証実験が、10月にも始まる見込みです。

(岡山大学病院聴覚支援センター 片岡祐子准教授)
「色んな情報を少しずつ工夫してのせていくことで、情報バリアが少しでも少なくなる。楽に暮らせる、社会の中で一緒に共生できる、そういう世の中にしていけたら」

障害があっても安心して暮らせる社会を実現するために。片岡さんは2024年度中の実用化を目指しています。