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2023.07.26

世界の巨大企業「アマゾン」の配送拠点が岡山に 立地戦略がもたらすのは物流の他に…【急上昇ニュース】

今話題のニュースやネットで関心を集めたニュースを詳しく解説する急上昇ニュース。配信担当の堀さんです。

今回は世界最大のECモール、アマゾンを取り上げます。
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最も頻繁に利用するECモールを聞いたアンケートの結果です。1位がアマゾンで、49.63%の人が最も頻繁に利用すると答えました(「ECモール利用実態調査」(Appliv TOPICS調べ))。

アマゾンジャパンの売上高は243億ドル、日本円で3.4兆円に上ります。その巨大企業の配送拠点が、2023年9月、岡山市北区に作られることが発表されました。一体どんな施設なのか、そして地域にはどんな影響があるのか取材しました。

アマゾンジャパンは7月6日、岡山市北区にデリバリーステーションを新設すると発表しました。
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デリバリーステーションはアマゾンの自社の配送網の1つで、車で約30分以内のエリアの宅配拠点となります。
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(アマゾンロジスティクス 舟木潤田リージョナルディレクター)
「デリバリーステーションは、お客様に一番近いラストワンマイルの拠点。サービスの改善につなげる」

アマゾンは今、大手宅配業者に頼らない自社の配送網を拡大しています。
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デリバリーステーションは2023年中に岡山市のほか、静岡や兵庫、福岡など11カ所に新設され、全国で50カ所以上に拡大します。
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これによって、荷物の届くスピードが速くなり、アマゾンが販売する数億点の商品の内、700万点以上の翌日配送が可能になるとしています。
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実は岡山にはかつて、総社市にアマゾンの物流拠点がありました。
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フルフィルメントセンターと呼ばれる在庫を保管する施設で、注文を受けた商品はここからデリバリーセンターや大手宅配業者に送られます。リース契約の終了と物流体制の見直しの中で2021年に閉鎖されましたが、交通網の発達した岡山は、物流業界にとって魅力的な場所です。
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(岡山大学 中村良平特任教授)
「(岡山は)東西南北にアクセスがいい。(県内の)倉庫の面積は広島を抜いている。岡山の物流の拠点性が高まっていることが、今回のアマゾンの立地戦略に表れている」

今、ネット通販が急速に拡大する一方で、物流業界の人手不足は深刻です。
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トラック運転手の時間外労働が年間960時間以内に制限されるいわゆる2024年問題も、問題に拍車をかけます。アマゾンが自社の配送網を拡大するのは、こうした危機に対する防衛策ともいえます。
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中小の物流会社や個人事業主に配達を委託するほか、街の商店に空き時間に配送をしてもらうなど、フレキシブルで効率的な人手確保を目指します。

(アマゾンロジスティクス 舟木潤田リージョナルディレクター)
「雇用ではさまざまな職種を用意している。デリバリーステーションの仕分け、マネージャー職、配送業務は個人事業主、フレキシブルな働き方を含めて、さまざまな働く機会を提供したい」

こうしたアマゾンの取り組みは、地域の雇用環境にどんな影響を及ぼすのでしょうか?

(岡山大学 中村良平特任教授)
「アマゾンなら他よりいい条件を出してくると思う。賃金を上げて生産性を高める。働く側にとっては良い事だが、(フレキシブルな働き方など)労働時間の制約があるので、かなり賃金が上がらないと厳しい」
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アマゾンは、全国11カ所のデリバリーステーション開設で合わせて3500人程度の雇用が生まれるとしています。

岡山市北区にデリバリーステーションができることで、周辺のアマゾンの宅配はますまず便利になることが予想されます。また、多くの雇用も生まれる見込みですが、フルタイムの勤務ではなく、兼業が多くなりそうです。

こうしたことを踏まえると、ECモール最大手アマゾンの物流拠点の岡山進出は、物流だけでなく、働き方そのものを変える可能性も秘めています。